何を犠牲にしてでもプレイしろ !!
PCゲーム批評 「Warcraft 3」

Last Updated:2007.08.20
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●能力バトル物のRTS

1995年前後からのスポーツ型RTSというと、お決まりのように陣地構築・資源採集・ユニット生産を行って敵地を蹂躙するものが大半を占めていた。Blizzardは本作の前にWarcraft1-2、そしてStarcraftを製作しているが、それらも基本システムは従来のRTSを踏襲しており、基本は内政拡大からの物量勝負であった。Warcraft 3はシリーズ物ではあるが、一度既存の概念を取り払い、新しい形のRTSとして再構築した完全新作とも言うべき作品である。

まず、資源採集からユニット生産という、これまでのRTSにおいて最重要項目であった内政要素を極力簡略化し、上級者だろうと初級者だろうと差がつかない内容になっている。この手のRTSは内政差をつけてから圧倒的物量を流し込むのが勝利の黄金パターンなのだが、この部分がバッサリ切り捨てられてしまっている。Warcraft 3は内政要素を省略することによって、ユニット同士の戦いに焦点を当てているのだ。これによって、自分がようやく内政を整えた頃には相手が大軍をそろえており、築き上げたばかりの王国を一方的に破壊されるという、ありがちなレイプ戦が発生しなくなっている。どんなに実力差があっても軍隊の規模はほぼイーブンなのだ。

このゲームで重要になるのは、内政ではなくユニットの扱い方である。大抵のユニットが、何かしらの強力な特殊能力を備えている。例えば敵の移動速度を下げる魔法や、透明化する能力などだ。プレイヤーは複数のユニットから自分の使いたいものを選択し、それぞれのユニットが持つ能力を組み合わせて、相手を上手く出し抜く必要がある。そしてこの能力の設定やバランスがとてつもなく良く出来ている。

能力は単に放てばいい、使えばいいというわけではなく、例えば敵が逃げる瞬間に足止めの魔法を使ったり、ギリギリまで敵の攻撃を引き受けてから無敵化能力を使って相手の攻撃を空撃ちさせたりと、使いどころが非常に重要になる。またそれぞれの能力は非常に応用力が高く、プレイヤーの発想次第で開発者すら想定していなかったような戦術をいくらでも創出することができる。基本的なところでは、ユニットの透明化能力は死にそうなやつを逃がすのに使えるが、足の速いユニットを不可視状態にして敵本隊を偵察するというのにも使える。各能力のバランスも長年に渡る修正で絶妙に練りこまれており、プレイ時間が1000時間を越えてもユニットの限界というものが全く見えてこない。既に5年が経過した今となっても、戦術が日進月歩で進化していることは驚愕に値する。

能力の性質をより詳しく把握し、限界まで発揮させることで他のプレイヤーとの差がつくこのゲームは、能力バトルに特化したRTSと表現するのが最も妥当ではないかと思う。相手が想定していなかった一手をその場その場で考えつく、経験による思考の瞬発力が求められるわけだ。Warcraft 3には、机上で考えついた戦術をすぐさま実戦投入し、己の技として物にできる柔軟性がある。


●リソースの奪い合い

内政が省略されているということで、では戦闘の時以外は何をやるのかというと、実は常にリソースの奪い合いが行われている。ユニットの中にはずば抜けて強い特殊能力を持ったHeroという存在がいるのだが、このHeroは敵を殺したり、マップ上に点在するCOMの操るCreep(モンスター)を倒すことによって成長するのだ。成長したHeroは能力を倍化させ、一騎当千の働きをするようになるため、各プレイヤーは大規模な戦闘が行われていないときでも常に敵の動向に目を光らせ、敵Heroの成長を妨害しなければならない。

初歩的な駆け引きとしては、敵部隊を通常ユニットで陽動している隙に、別部隊で敵陣付近のCreepを殺してしまうというのがある。すると相手は陣地付近のCreepを倒せず経験値を得られなくなってしまい、逆にこちらは相手の経験値を奪ってHeroを成長させることができる!他にも相手がCreepを倒す瞬間に呪文を放って横取りしたりとか、とにかくお互いに妨害をし合い、常に先手を取ることが重要となる。相手に上手く攪乱させられ、手の平で踊らされたりすると、かなり悔しい。相手の狙いを見抜き、それを打ち崩す戦略眼が必要になる。


●アイテムの活用

Heroは単に強い能力を持っているだけではない。マップに点在する店に出向くことで特殊能力を持つアイテムを購入できるのだ。アイテムを購入するには資源が必要になるので、当然ユニットを削って購入するわけだが、アイテムはただでさえ強いHeroに様々な能力を付加することができる。例えばテレポート能力とか、全体回復効果などだ。荒らしの得意なHeroにテレポート能力のある杖を持たせ、瞬間移動しながら敵をかき乱すことができる。この多種多様なアイテムの存在が、Warcraft 3の能力バトルを一層複雑に、奥深くしている。


●何百試合でも楽しめる中毒性

使用できるHuman, Orc, Undead, Night Elfの4種族は完全に差別化されており、種族によって全くユニット特性が異なるので、何度プレイしてもダレないメリハリのある対戦が楽しめる。ダレないといえば展開も非常にスピーディーで、開始2分後には小競り合いが発生し、15分程度で1試合が終わるのもテンポがいい。対戦物は実力差が開き過ぎているとつまらない勝負になってしまうが、Battle.netのオートマッチングを使えば実力の近い相手を一発検索してくれるので、初心者でも気兼ねする必要はない。


●シングルプレイは価値なし

このようにとにかく奥深く、睡眠すら許さないような犯罪級の面白さを持つWarcraft 3だが、人間同士の駆け引きを前提に作られているため、シングルプレイはストーリー以外大して面白味のない平凡な内容になっている。まったり大群戦を眺めたり、農場でセコセコ働く労働者が好きな人は、他の歴史物ストラテジーでもプレイしよう。


●総評

現時点で対戦型RTSとしてはずば抜けた面白さを誇っているが、リソースの奪い合いなど表面的に分かり辛い駆け引きが中心となっているためか、どうも一見して単純なアクションゲームだと早とちりしてこき下ろすレビュアーが多いようだ。断言するが、Warcraft 3において重要なのはアクションよりも戦術・戦略である。そして各要素のバランスや応用性の高さは、他の凡百のストラテジーゲームとは比較にならない。

いずれにせよ、Warcraft 3は有無を言わさぬ傑作だ。対戦好きな者にとっては外せないタイトルだろう。


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●入手状況

発売から既にかなり経過したが、Warcraft 3は未だに日本でも売れ続けているらしい。そのためどのショップでも割と頻繁に見かける。現在は「Warcraft3: Battlechest」というセットパッケージにWarcraft3+Frozen Throne、英語のマニュアルとオフィシャルガイドがつくので、これが断然オススメである。Best Sellerから両方の廉価版も発売されている。日本語版はカプコンから発売されていたが現在はサポート終了。ただBlizzardのサポートが厚いのでマルチプレイは問題なく行えるようだ。



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