Terminator Salvation (ターミネーター サルベーション) 批評
Last Updated: 2009.07.10 / First Edition: 2009.07.10
このゲームに興味を持ったのは、たまたま見たトレイラーが面白そうだったからであった。版権物、キャラゲーと言えばゲーム内容は並以下と相場が決まっているが、開発はそれなりに実力のあるGRINだし、プレビュー情報を読むと内容も面白くなりそうな要素を含んでいるので期待していた。が、発売直後にPC版だけ「インストール不可のエラーが発生してリコール」という情けない事件が起きた上に、メディアからの評価が低かったので、その時点で商品としては死んだ感じだった。
しかし最初に書いておくが、このゲームは結構面白い。もちろん版権物としての宿命的な欠点は存在するが、それを補うだけの良質なゲームプレイと、原作ファンを喜ばせるグラフィックスがある。
内容はGears of Warから流行したThird Person Cover Shooterである。プレイヤーは主人公であるJohn Connor(権利の関係で顔や声は映画と違う)を第三者視点で操作し、付近にある遮蔽物に体を隠してTerminatorたちの攻撃を防ぎながら反撃する。しかし一般的なCover
Shooterと違うのは、Terminatorたちの装甲は非常に強固なので、正面からの単純な攻撃では歯が立たないということである。
そこで遮蔽物から遮蔽物へと素早くスライディングで移動し、敵マシンの弱点となる部位を狙える位置まで移動する必要が出てくる。どんな場面でも最低1人はHealth無限の味方NPCがついているので、その仲間に敵の注意が向いている隙に背後から攻撃を叩き込むと、実にあっさり倒せる。この攻守逆転の瞬間にカタルシスが味わえる。
逆に敵がこっちを向いている場合でも、挟み撃ちに持ち込んでいるのなら、今度は味方NPCが敵を背後から倒してくれる。昔のCall of Dutyみたいに、味方の攻撃が永遠に敵には当たらないので、絶対に自分で決着をつけなければならない、というおかしな場面はほとんどない。よって作品のカラーとしては、ActionよりもTactical寄りだと言えるだろう。味方に指示を飛ばせないTacical
Cover Shooterといった印象である。
ゲームとしての盛り上がりが最高潮に達するのは、やはりT-600出現時となる。T-600は正面胸部が弱点になっているが、強力なMinigunも装備しているので正面対決では到底勝ち目がない。そこで爆発物や遮蔽物を上手く使った戦い方が求められる。
基本的に敵との正面対決では勝てない、というバランスの匙加減はCover Shooterとしての面白味を増すと同時に、高性能殺戮マシン vs.
人類という原作の雰囲気を見事に再現している。この点は高く評価したい。
一方で映画公開日に合わせたためと思われる欠点もある。それは武器や敵の種類があまりにも少ないため、最初から最後まで似たような戦闘シチュエーションがループするということである。このゲームで新しい体験が待っているのは前半部分だけなのだ。残り半分はそれまでと全く同じ敵、同じ武器、同じシチュエーションでの戦闘が延々と繰り返されので、ゲームを進めるとダレてくる。
戦闘 -> カットシーン -> 戦闘…という流れが繰り返し続く上にロードが頻繁に挿入されるのはテンポが悪く、ゲーム部分のみを遊びたいプレイヤーを若干イライラさせるだろう。頻繁に入るビークルに乗っての戦闘も大して面白くない。単に撃ちまくるだけである。
自由度という点でも非常に弱く、マップは完全に1本道であり、スクリプトによって出現させられたTerminatorたちを、これまた最初から用意された遮蔽物を利用しながら「正解ルート」を探して撃破していく、という作りになっている。完全にレールの上を走らされる作りは版権物ということでライトユーザーに配慮したのだろうが、味気ない。1周しただけで味わい尽くしたように感じる作りである。
Healthはチェックポイント回復式であり、Cover Shooterにありがちな自動回復ではないという点にも期待はしていたのだが、チェックポイントが戦闘の最中にも存在して頻繁に全回復するので、ほとんどの局面においてHealth管理する必要がなかった。敵の銃弾を浴び続けてもケロリとしているJohn
ConnorはTerminatorよりも硬い。味方NPCが無敵、自分も遮蔽物に身を隠している間はほとんど無敵という点も緊張感の無さを加速させている。
ゲームクリアまでにかかる時間も4時間程度であり、ある程度のボリュームを求める人たちには受け入れられないものだろう。
グラフィックスは合格点。特に敵側の主役と言えるT-600の再現度は感動的ですらある。戦闘中のメカ的な歩行動作、John Connorが遮蔽物へ滑り込む動作など、全体的にプレイ中のアニメーションは滑らかでありかなり様になっている。反面、カットシーンでの動作の機械っぷりは映画を作った人間が見たら泣くレベル。全体的に遠目で見る分には美しいがよく観察すると粗の目立つ作りなので、プレイ中はあえて細部を観察せず騙されたほうが楽しめると思う。
総合的に見れば、映画シリーズのファンという前提であれば75点は与えていい作品であると感じた。ゲーム版のTerminator Salvationは、明らかに作り足りないものを期限内に無理やりまとめてしまった作品である。しかし純粋なゲームプレイやグラフィックス(ここでは特にキャラの造型や動き)は優れており、他の版権物にありがちな、プレイする際に致命的なまでにイラつかされる欠陥のようなものは存在しない。問題はバリエーションの少なさとレール的な作りにのみある。そのような欠点を承知の上で買うならば、本作はファンの期待に応えてくれるだろう。
最後になるが、本作にはオフライン限定のCo-opモードもある。映画を観に行った帰りに輸入代理店でゲームを買ってきて、家族みんなでT-600が鉄クズと化すまで撃ちまくっていただきたい。
* ビデオレビュー
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