Team Fortres 2 批評
評価:入り易く、それでいて奥が深い。ただし最近暴走気味。

Last Updated: 2008.07.13 / First Edition: 2007.11.11
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●TFCとの違い

Team Fortressは、遡れば初代QuakeのModとして誕生したクラス(職業)制を取り入れたチーム戦FPSの元祖である。TFは様々なゲームにModとして移植されていったが、最も有名なのはHalf - Lifeの公式Modとして作られたTFCだろう。このシリーズでは、プレイヤーはSoldier, Medic, Spyなど様々なクラスを自由に選択でき、それぞれの能力を活かして、協力し合いながら敵要塞(Fortress)を攻略しなければならない。選択できるクラスの種類は増えておらず、マップも既存のものをカスタマイズしたものが多いため、パッと見た感じでは前作とあまり変わらない。

だがTFCからTF2にかけて劇的に変わったものがある。それはゲームバランスだ。TFCはQuake時代の特徴を色濃く残してあり、各種ジャンプテクニックを駆使して攻めるのが必須だった。そのため本来治療役であるはずのMedicは、特殊ジャンプでビュンビュン飛び回る旗取りであった。また非戦闘員であるEngineerも、強力なGrenadeを使えばある程度前線での活躍を期待することができた。要するに、テクニックを利用することによって本来の仕事範囲を超えて活躍することができた。

ところがTF2ではそれらの要であるGrenadeが完全に消滅し、逆にそのクラスが本来持っていた能力は強化される傾向にある。これは各クラスの仕事範囲が狭まり、本来デザイナーが意図していた役割分担を強要されるようになったことを意味する。Grenadeは各クラスに最低限の戦闘能力を持たせていたが、それがなくなったTF2では補助クラスは補助クラスとして生きていかなければならない。またジャンプテクニックが使えなくなった上に復活まで時間がかかるようになっており、ゲーム展開がかなりスローになっている。このためTF2は個人技による派手な旗の争奪を繰り広げるゲームではなくなり、各クラスが連携してじっくり進みながら敵陣を突破する、よりチームプレイ重視のゲームになっている。

ゲームバランスはかなり素晴らしい。大抵の対戦ゲームは武器やクラスの強さに偏りが生まれてしまうものだが、TF2はそれぞれの能力に上手くトレードオフの関係が働いており、一概に○○が優秀で××はいらない、と断じれるような粗さがない。距離に応じてプライマリ、セカンダリ、打撃武器の全てが重要になり、またほとんどのクラスは単独では満足な活躍ができず連携が求められる。そのためプレイ経験を積んでも常に各状況における最善の行動を模索し続ける喜びを味わえる。

欠点をあえて書くなら「真っ当過ぎる」というところだろうか。元々Quake系FPSは派手なジャンプテクニックによる高速なゲーム展開、Medicなのに何故か旗取りになっているという異常且つ馬鹿っぽいノリがゲーム空間に独特の熱気を生み出していたのだが、TF2は極めて真面目なチーム戦FPSになってしまっている。作品単体で見れば非常に優れているのは確かだが、TF2はTFCの代替品にはならない。あとは仕様が全体的にヌルめ(味方同士の衝突無し、FFがOFF固定、いくらでも回復できる)なので、シビアなのが好みなプレイヤーには向かない。



●初心者に優しいゲーム内容

Valve開発だけあり、とにかく間口の広い内容になっている。クラスを選択するときも、それぞれのクラスの特徴が解説されるし、ローディング中にプレイのTIPSが表示されたりもする。対戦ルールはマップによって変わってくるが、なんと最初に凝ったムービーを見せて懇切丁寧にルールを教えてくれる。言語に関しても日本語を含むマルチランゲージに対応しており、説明書を一切読まずとも自然に内容を学習できるよう作られている。

また全体的にスローテンポなこと、Grenadeの扱いを覚えずとも戦えることは、TFCに比べて新規プレイヤーを呼び込む上で大きな長所となるだろう。FF(同士討ち)は項目自体が削られてOFF固定になっている。TFCで問題になっていたスパム攻撃(敵の復活地点に幻覚爆弾をばら撒いたりする回避困難な嫌がらせ)はスパムの基準がプレイヤーによって曖昧であり、ルールの統一を困難にしていたが、今回はそれを防ぐためにスパム可能な武器は思い切って全てリストラされており、これは英断と言える。前作では最初にサプライルームで弾薬補充をするときに弾薬を全部1人でかっさらって味方に迷惑かける者が多かったが、TF2では最初から弾が満タンなのでそういうことはない。

これらの意味するところは、「右も左も分からない初心者が取り合えず戦場に飛び込んでみたけど、やっぱりよく分からなくて味方に迷惑をかけた挙句、文句を吐かれて居たたまれなくなり二度とそのゲームを起動しなくなる」というチームベースのマルチプレイにありがちな脱落者の発生を避けているということで、大変初心者フレンドリーな設計であると言える。

グラフィックは前作と全く異なるカートゥーン調のものに変更され、コミカルで、ロケランを直撃させると体がもげてバラバラになるといった昔ながらの演出が良い。元となるSource Engineが比較的軽いため、大人数で入り乱れてもそれほど重くならないのもマルチプレイゲームとして大きな利点と言える。



●アップデートで狂い行くTF2

*: アップデートは現時点ではXbox 360版には適用されていない

初期の頃から高い完成度を誇っていたTF2だが、最近のアップデートの方向性には強い不満を感じる。実績などという対戦ゲームに完全に不要な要素を取り入れ、新規ユーザーの獲得を狙っているのだ。最大の問題点は「実績を解除しないと入手できない新武器」も同時に導入されてしまったことで、プレイヤーたちはこの下らない実績解除を強制されることになる(実績を解除しないと武器が使えなくて不利になる)。実績解除条件も死んだ敵の前で挑発するとか明らかに通常のプレイ範囲内で起こり得ないものばかりで、かくしてアップデート直後は実績解除狙いの糞プレイヤーがサーバに蔓延することとなる。

こんなアップデートで喜ぶのは、対戦ゲームを大してやり込みもしない、勝敗無視で自分だけ実績解除できて楽しめればいいというカジュアル層だけだろう。実績の導入は、本来のゲームプレイの観点から見て最善でない行動をするようプレイヤーに強制力を働かせ、対戦の質を落とすだけでまるでメリットがない。結局ほとんどのプレイヤーは実績解除専用マップを使ってのファーミングで何とかするのだが、これをやるとSteamゲームの大きな利点の一つであるプレイヤーの統計データが狂ってしまうという難点がある。現状では常連プレイヤーはみんなファーミングでスコアがおかしくなっており、統計データはほとんど意味を持たなくなっている。

断言するが、2008年4月以降の大型アップデートは明らかな改悪だ。Valveは一時的にユーザー数を増やしたかもしれないが、このような対戦ゲームの本質に反する要素の導入でゲームが良くなるはずがない。実績・アンロック武器などというMMORPG的なデザインは、プレイヤーの操作を軽視し、対戦ゲームを「実力勝負の純粋な競技」から「お子様のお遊戯」へと自ら貶める自虐行為でしかない。



●総評

アップデートの件を除けば、あまり文句をつける余地がない秀逸な仕上がりと言ってよい。特にマルチプレイFPS入門者にこそオススメしたい。

Amazon Team Fortress 2The Orange Box




●動作環境

必要動作環境 推奨動作環境
OS Windows XP/Vista -
CPU Pentium4 1.7GHz Pentium4 3.0GHz
RAM 512 MB 1 GB
VRAM DirectX 8世代のカード DirectX 9世代のカード

必要動作環境だとさすがにまともにゲームができないと思う。推奨動作環境程度のPCなら十分に対戦可能だろう。Source Engineは元々軽い上に、TF2世代でもそこまでバージョンアップされていないので、比較的軽い部類に入る。またTF2はGrenadeが消滅したのでTFCに比べるとエフェクト処理が格段に少なくなり、人が増えたからといってそこまで極端に重くはならない。


●パッケージの種類と入手状況 (2007.11.17)

現状ではSteam版とパッケージ版(The Orange Box)しか存在せず、Steamでは単体購入可能だが、パッケージで買う場合はセットパッケージを買わなければならない。サイバーフロントの販売するThe Orange Boxの日本代理店版には通常版と、既にHL2(or EP1)を持っているユーザー向けの優待版が存在するが、この2つに差はなく、新規のプレイヤーでも優待版で問題ないとのこと(通常版の意味が全くない)。HL2とHL2:EP1を既に持っていた場合、重複した分を他のSteamユーザーにプレゼントすることができる。


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