Last update:2007.03.07
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System Shockは、元々はThiefやFlight Unlimitedなどの名作で名高いあのLGSが、1994年に作り上げたSFホラーの傑作である。本作はそのLGSと、LGSから派生した会社であるIrrational
Gamesが共同開発をして1999年に発売された。ゲームエンジンにはThiefと同じ「Dark
Engine」を採用しており、その独特の移動感覚や環境音、AIの行動パターンなどはThiefのそれにそっくりである。そしてこのゲームの流れはそのまま「Deus
EX」に引き継がれている。ジャンルに関しては、源流はRPGなのだが、3Dが主流になって以来アクションとRPGの境界線は曖昧になっており、既にどっちがどっちなのか分からなくなってきている。アクションRPG、あるいはアクションアドベンチャーと分類するのが無難だろう。
簡単にストーリーの説明をしておく。人工知能"SHODAN"の暴走から42年が経過した後の世界では、人類はついにワープ航法を可能とする超光速宇宙船"Von
Braun"を実用に移していた。だがその宇宙船が調査に乗り出した知的生命体"The
Many"は高い知能と寄生能力を持ち合わせており、船内のほとんどの人間が寄生され、生き残った人間たちも徐々に"The
Many"の一部となっていく。プレイヤーは兵士として船内でコールドスリープ状態にあったが、騒ぎによって強制的に解凍され、この混沌とした船内で生き延びなければならなくなる。
前作のファンなら、System Shock 2をプレイした際にデジャブを覚えるかもしれない。本作のゲームの流れや全体の雰囲気は、前作System
Shock 1にそっくりなのだ。目覚めたばかりの主人公、占拠された船内、宇宙船を下層エリアから上っていくという展開、そして人工知能"SHODAN"の存在。ストーリー的には確かに前作の正当な続編なのだが、リメイクのような印象を受ける。
特にホラー演出は良い意味でそのまんまである。System Shockのホラーは、閉鎖空間にたった一人で取り残されているという恐怖、武器や弾薬が限られている不安からくる恐怖、敵がどこにいるか分からない恐怖、といった要素から成り立っている。
前作のCDバージョンから御馴染みの音声ログ(再生すると吹き込まれた声が聞けるPDA)は、最初のうちは必死に生き延びようとしていた人間が、最終的には"The
Many"に寄生されてしまい、他の人間に牙を向く様子などを肉声で生々しく伝えてくる。音声にノイズが走ったり、物音も聞こえてくる細かい演出が秀逸だ。最近では「DOOM
3」が全く同じ手法を使ったことで話題になったが、声優の演技や演出の仕方は、System
Shock 2の方が断然優れている。
序盤は武器や弾薬がかなり限られており、もしこの状態で敵に遭遇したら…という不安感があり、マップを少し進むのにも神経を削る。また通常のFPSでは考えられない敵のランダムリスポーン(復活)は、常にこの先に敵がいるかもしれないという緊張感をプレイヤーに与え続ける、上手いやり方だと言える。同じ道でも敵が復活しているときと復活していないときがあるのだ。今通ってきたばかりの道から突然敵の足音が聞こえてきて、後ろを振り向いたらのうああぁぁーーっ!!、なんて展開も起こりえる(当然ランダムで)。
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| 寄生された人間が人間を撃ち殺す、混沌とした船内 | とにかく弾が不足するので、敵の存在そのものが恐怖となる |
一見ただのFPSに見えるSystem Shock 2だが、このゲームのRPG部分となっているのがスキルシステムである。プレイヤーには実に様々な種類のスキルがあり、それらをゲームを進めるに従って限定的に手に入るアイテム(サイバーモジュール)で向上させていくことができる。スキルにはSTRやAGIといった能力値、ハッキングや武器の改造といった技術値、武器ごとの熟練度、そして通常のRPGの魔法に当たるPSI(超能力)があり、限られたサイバーモジュールを使って取捨選択をしなければならない。これをFPSの主人公に適用できる。
そして重要なことだが、このスキルシステムは「超人的な主人公にさらに追加能力を持たせ、戦いを有利に進められるようにする」というものではなく、「貧弱な主人公を何とか増強し、敵と戦えるようにする」というものである。ここが他のFPSと大きく異なっている。初期状態の主人公は雑魚に2,3回殴られただけで即死する上に、拾った武器のほとんどが使用できず、しかも使っていると武器がどんどん壊れていってしまう。要するに強化しないと戦いにならないのだ。何も考えずに行動すれば、レンチ一本で凶悪な敵に立ち向かうハメになる。そこで熟練度を上げてショットガンを使えるようにしたり、メンテナンススキルを上げて消耗した武器を直したり、Enduranceを上げて体力を高くするわけだ。より多くのアイテムを持ち運びたいならStrengthを強化し、武器を改造するのが有利と思うならModifyを強化する。
中でも変わっているのは、SFという設定を活かしたハッキングとPSIである。ハッキングして船内の敵意を持っているセキュリティをダウンさせれば、監視カメラや砲台を無視して体力と弾薬を節約できる。PSIには透明化して敵を素通りする、敵を同士討ちさせるといった通常のアクションゲームにはない便利な能力が揃っており、これを選択するだけで全く別物のゲーム展開になる。それとResearchというのを上げると、敵の破片の一部を解析できるようになり、研究が終わるとその敵に対してより有利に戦えるようになるのは面白いと思った。またこれは同時にアクションゲームでもあるので、操作に自信のあるプレイヤーなら移動速度や体力を上げずに他のスキルを伸ばす、という選択するをすることもできる。アクションとRPGの成長要素が上手く融合しており、とても良くできている。
System Shock 2の良さというのは、このスキル選択の面白さにあると言っていい。アクションゲームとしての楽しさも残しつつ、プレイヤーにどうすれば効率良くゲームを攻略できるのか、を考え試行錯誤させてくれる。LGSが作るゲームは、常に撃ち合い殴り合いに終始しないインテリジェンス溢れるゲームなのだ。
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| スキルを伸ばすことによってキャラの性質を変えられる | タレットをハッキングで味方につけ、敵を同士討ちさせた |
謎解きは前作に比べれば大分簡単になっており、マップはわかりやすく、単純化されている(それでも普通のFPSよりかはずっと複雑だが)。プレイヤーは宇宙船のデック1からデック6を走り回ることになるのだが、各レベルごとに雰囲気が変わってくるし、スキル向上による変化もあるので単調さは感じない。
序盤はやや高めの難易度だが、体力や弾薬をやりくりしていくのが楽しく、バランスはかなり煮詰めているという印象を受ける。それと敵がいくらでも復活するのに、こちらの弾薬などが限られているのでうっかりすると詰まってしまいそうだが、滅多にそうならないようにちゃんと調整されているのには感心した。難易度はEasyからImpossibleまでの4段階用意されており、上級難易度は再プレイに値するだけの難しさになっている。
ところが中盤になると突然スキルをガンガン伸ばせるようになり、終盤は投げやりというくらい強化できてしまうため、このバランスには疑問を感じるところだ(Normalの場合。Hard以上なら適切だがNormalが後半簡単過ぎる)。たしかにストーリーを重視するゲームは、クライマックスが近づくに従って話のテンポも早くなるので、それに合わせて前半より難易度を下げて、ストーリーに集中させるのは常套手段となる。また自由度が高いゲームは、ゲームが進むに連れてプレイヤー間の差が開いてしまうので、脱落者が出るのを防ぐために後半はやや簡単にしないといけないという事情もある。だがこれは簡単過ぎだろう。スキルを上げる有り難味がなくなってしまう上に、簡単になるにつれてゲームの緊張感が薄れていってしまうのだ。この他にも後半にやたら面倒なタイプの謎解きがあったり、総じて後半は前半に比べて調整不足、テスト不足の感がある。前半部分が非常に良く作りこまれているだけに、残念に感じる。
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| 前半は限られた資源を上手く節約して進む必要がある | 後半は力押しが可能になってしまい緊張感に欠ける |
各スキルごとの重要性のバランスも改善できそうだ。例えば修理スキルは、そもそも武器を壊さないように小まめにメンテナンスすれば済む話なので、全く必要ない(しかも代用アイテムも存在する)。逆にメンテナンススキルは上げないとどうしようもないのだ。特に武器のバランスはおかしい。通常兵器、電子兵器、重兵器、生物兵器があるのだが、生物兵器がどう見ても激烈に弱過ぎて全く使い物にならない。よってここにうっかりポイントを割り振ってしまうと苦しくなる。
明らかにスキルの中に優劣が存在するので、攻略の効率を考えた場合、2周目以降も似たようなものになってしまう可能性がある。そのため、最初にプレイしたときほどゲームに可能性を感じられなくなるのは勿体無い。この問題は兄弟作品と呼べるDeus
EXにも残っているのだが、結局細かいバランスというのは、対戦ゲームのようにパッチで徐々に修正していかない限りは、調整が難しいのかもしれない。
総じてレベルが高く、とても奥深いやりがいのある作品であると言える。LGSファンなら迷わずプレイするべきだろう。ただ同社の作品全般に言えることだが、プレイ前に覚えること、考えなければならないことが非常に多く、ゲーム中も普通のFPSより遥かに多くの動作が要求されるので、ヘビーユーザー向きの作品であることは間違いない。普通の人間なら何だかゴチャゴチャしている上に難しいので、序盤で投げてしまうのではないだろうか。マニュアルにかなり詳しい解説があるので読んでおくべきなのだが、日本での代理店もつかなかったので、日本人にはとってはハードルの高い作品かもしれない。
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System Shock 2 (C) 1999 Looking Glass Studios. (C) 1999 Irrational Games.
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