Last Updated: 2006.07.01
解説/攻略

1982年より作られ続けているキャラゲーの王道中の王道、スターウォーズゲームの最新タクティカル・シューター(と呼んでいいのか少し微妙だが)が「リパブリックコマンド」である(以下SWRC)。少し前にマルチプラットフォームで「Battlefront」が発売され、ファンの間で大きな話題となったが、この作品はそれとは別にシングルプレイを重視した内容となっている。
ストーリーのようなものは特になく、EP2と3の狭間の時間軸で、特に優秀なクローン兵を集めた「デルタ小隊」の隊長として任務を遂行していくというもの。舞台は大きく分けてジオノーシス、宇宙船内、キャッシークの三つに分かれており、それぞれ一つのキャンペーンが用意されている。隊員にはそれぞれコードネーム07、40、62がおり、爆破担当やハッキング担当といった風に特徴づけがされている。
まずこのゲームをプレイして感じるのは、開発者達はこれまでに出たタクティカル・シューターをよく研究し、いかにライトユーザーたちに部隊を操っているかのような「気分」を満喫させられるかを考えているということである。
初心者にはとっつき辛いゲーム性を解消するために、命令コマンドは大胆に省略されてしまっている。たとえば通常のタクティカル・シューターなら、隊員一人一人に「おまえはここで見張っていろ。おまえはそこから狙撃をしろ。おまえは前を先行しろ」という風に命令を出したりすることができるだろう。ところがSWRCでは隊員に個別に指示を出すことはできず、命令も「攻撃態勢」「フォロー」「指定地点確保」という大雑把な指示をすることしかできない。
今までリアル系の硬派なタクティカル・シューターをプレイしてきた人には、間違いなく不満だろう。実際このゲームは命令コマンドこそあれど、隊員はほとんどオートで戦ってくれると言っても全く過言ではない。プレイヤーが出す指令はあくまで部隊の大雑把な動き方だけであり、戦い方や配置などは隊員が各自判断して自分で決めてくれるのだ。
また場所によっては隊員に狙撃指示や爆破指示をさせることもできるのだが、これも自分で戦略を練る必要はほとんどなく、あらかじめ決められた場所に隊員を配置するかどうかをYes/Noで決めるだけである。つまりここでもプレイヤーが決める必要があるのは、隊員をそこに配置するべきかしないべきかということだけで、ポジショニングなどの要素は考えることもできない。平らな大地のどこにでも好きな場所に隊員を配置するという、無限の中から1つを選択するような自由度とは無縁である。
しかしこれらはSWのゲームとして出す以上ある意味当然のことなのだ。通常のタクティカル・シューターでは、隊員に指示を出すために素早いコマンド操作と的確な思考をしなければならない。隊員を配置する場所に目が回るほどのスピードで視線を移し、ファンクションキーを流れるように押して個別に指示を出す必要がある。普通のゲーマーならアウアウアーとなってしまうだろう。だがSWRCならば、プレイヤーはワンボタンで全隊員を操り、隊員たちも勝手に的確な配置についてくれるのだ。これによりSWが目当てで買ったお子様ゲーマーも、何となく自分が部隊を操っているような錯覚を覚えることができる(現実にはAIが自分で考えて動いてくれているだけ)。
このようにSWRCにおけるタクティカルシューターの本質とは、プレイヤーに指揮官のような「気分」を味あわせることにあるのだ。実際には、このゲームでプレイヤーが考えるべきことと言えば「眼前の敵に銃弾をぶち込むこと」くらいだろう。敷かれたレールの上を歩き、あらかじめ決められたことの取捨選択ができるだけのゲームに想像力はいらないのだ。

特に指示をしなくとも、隊員は各自で状況を判断し、適切な配置について戦ってくれる。
ここまでくれば通常「タクティカル・シューターなのに戦略的要素が皆無。駄作」と切り捨ててしまうところだろう。だがSWRCが単なるライトユーザー向けの凡作で終わらない理由は、その見事なバランスの取り方にある。
まずゲームそのものの難易度は序盤やや高めで、また戦闘も最近のFPSのようにプレイヤーが適当に突っ込んで終わりにはならないようになっている。ゲームをクリアするには仲間と協力して戦うことが必須であり、仲間なしに戦うことはかなり辛い。それでいて、仲間に頼るだけでも力押しすることはできない。プレイヤーとAIが共に頑張ることがかなり重要なバランスに出来ているのだ。この匙加減は正直言って絶妙であると思う。
何故そうなるかを分析してみると、仲間の主な役割は弾除けと牽制にあることが分かる。物陰に隠れながら、ある程度の援護射撃もしてくれるのだ。敵の攻撃は味方に分散されつつも、それだけでは攻撃力不足なので(強い武器を自由に使える)プレイヤーが上手く敵を撃破する必要がある。逆にプレイヤーだけで突っ込むと集中砲火を受けてしまい、とても耐えることはできない。仲間だけに頼っていても、そのうち攻撃力不足から接近されてしまい、近接攻撃で押し負けてしまうだろう。
またやられた隊員が死亡するのではなく「戦闘不能」状態に陥り、仲間が傍で回復させることによって戦線に復帰できるというシステムも興味深い。スカッド制タクティカル・シューターの一つの問題点は「隊員が死亡すると途端に難易度が上がる、プレイしにくくなる」ということで、最悪誰かが死亡した時点でロードし直さなければならないような難易度のものも存在するのだが、SWRCにおいては隊員やプレイヤーすらも、死亡したからといって即ロードする必要はない。敵を倒すなり、隙を見て助け出すなり、敵を全滅させてから復帰させればいいのだ(復帰可能回数は無限)。プレイヤーが倒れてしまった場合には、戦闘不能になりながらも「助けてくれ」か「指令を続行」を選ぶことができる。もちろんお互いが回復できるからといって全滅がありえないわけではなく、敵の攻撃が激しすぎるときに隊員が倒れてしまうと、そのまま回復の間もなくに全滅してしまうこともある。
シューティング部分のバランスでは、敵によって有効な武器が違い、上手く攻撃していかないと非常に時間がかかるようになっている。よくこのゲームの評価で「敵が硬過ぎる!」という意見があるが、それは誤りである。実際スーパーバトルドロイドは中堅の敵とは思えないほど異常に硬く、ブラスターの集中砲火を加えても倒すのに10秒くらいかかるため、最初は私も硬過ぎて爽快感が得られないと思っていた。しかし対装甲アタッチメントを直撃させれば一撃で粉砕することができるし、対メカ用のECデトネーターでも効率良く破壊することができる。グレネードは4種類もあり頻繁に手に入るため、敵に応じて上手く使い分ける必要がある。戦略性はなくとも、攻略性は高いのだ。
ロケーション的にもジオノーシスの渓谷や敵施設内、宇宙船内部、キャッシークの美しい森など、変化をつけている。難易度も高めだがちゃんとやるべきことをやれば安定してクリアでき、理不尽に感じるような場面はない。タクティカル・シューターながらPC版ではクイックロードをすることができるのでストレスもたまらない。

ECデトネーターで動きを封じて近接攻撃連打。弾が少ないのでナイフ攻撃は非常に重要である。
さすがにLucas Artsの製作/販売するSWゲームだけあって、このゲームは技術的にも完成度が高い。Half-Life2が出てしまったので発売当事はやや古いグラフィックだといわれたが、実際にはそんなことはない。全体的に無機質なSFの感じが漂っていて、キャラクターグラフィックによる感情表現などは全くないし、少し前に発売されたDOOM3やHL2に比べればさすがに劣るが、2005年のゲームとしてみても違和感はないし美しいと感じる。SWのゲームは一般層を対象にしているため、やや低性能なビデオカードでも快適に動作するように作る必要があるが、上手く折り合いをつけて仕上げたと思う。
特に注目したいのは、技術的な面よりも、キャラクターを大きく描いているということだ。実際にプレイしてみればよく分かるが、SWRCは敵一体一体に存在感があり、非常に迫力がある。キャラゲーならば、登場する御馴染みのキャラクターはアップでよく見えたほうがいいだろう。またテクスチャの描き込みも非常に細かく、立体感がある。ただSWファンに言わせるとデザインが少し懲りすぎていて、原作とは異なる外見になってしまっている敵も多いらしい。
AIに関しては確かに馬鹿ではないのだが、賢いかと言われるとちょっと微妙なところだ。というのはこのゲームはかなりスクリプト制御が多いからである。つまり「攻撃命令を受けているときはこの場所に隠れて攻撃する」というのがあらかじめ決められているので、そのように動けるのは当然であり、AIが賢いとは言えないのである。敵の攻撃が少ないときに物陰から顔を出して攻撃するのは良く出来ていると思ったが、敵が近づいてきても反応がやや鈍く、時には無視してしまうこともあった。

キャラクターがややデフォルメされている感はあるが、全体的に迫力があり文句はない。
SWRCはアクション重視のシューターとして見ていけば様々な良さがあることは分かってもらえたと思う。タクティカル・シューターという先入観を捨てて割り切ってプレイすればなかなか楽しめる内容だろう。しかしSWRCにはその中途半端さ故の欠点がある。
まず内容が単調である。このゲームはタクティカル・シューターとしては致命的なほど戦略要素が皆無なので、ほとんど純粋なFPSとして見た方がいいのだが、その割には武器や敵の種類が少なく、中盤以降は物足りなくなる。ここで通常のタクティカル・シューターなら、例え武器や敵が同じでもマップごとに戦略を立てて行動する必要があるため単調さは感じないのだが、SWRCにはそれがない。これでは単にバリエーションに欠けるだけである。ロケーションの変化だけではカバーし切れていないように感じる。
また説明ではそれぞれの隊員に得意分野が決まっているとあるが、実際には全員能力は同じであるように感じる。誰であろうと扉の爆破はできるし、ハッキングをすることもできる。また武器は全員ブラスターライフルがメインで、誰が負傷しようがチームの状況は変わらない。私は最もらしく説明書きがあるので、各隊員が明確な長所と短所があると思っていたのだが、実際に違うのは喋り方くらいなのでガッカリであった。これは恐らくバランスの問題だと思うのだが、せめて武器くらいは変えても良かっただろう。
このゲームはFPSとしてみるとバリエーションに欠ける嫌いがあるし、タクティカル・シューターとして見るとあまりにも単純過ぎるという欠点がある。この中途半端さは普通のユーザーは気にならないのかもしれないが、ゲームに慣れた人間からするとちぐはぐで違和感があると思う。

戦術面では指定された場所にしか隊員を配置できないし、FPSとしては単調だし、どっちつかずなゲームである。
サウンドは他のFPSに比べ反響効果などの面で弱く、全体的に物足りない。BGMはもっと映画で流れていたようなものを使いてもらいたかったのだが、半分くらいはオリジナルのものを使用しているようだ。ブラスターの発射音はファンとそうでない人で好き嫌いが分かれるかも知れない。ゲームクリアにかかる時間は、どれだけ苦戦するかによるが12-15時間くらいか。謎解きのようなものはなく、進行自体はスムーズである。キャンペーンをクリアすると、コンセプトアートがアンロックされていくのだが、これは特に見る必要もないものだ。
このゲームは世界観はSWに基づいて作られているが、実際には敵キャラクターやブラスターといった武器以外、SWっぽい要素が見られないというのが正直なところだ。これはファン以外のプレイヤーを獲得するには悪くない要素なのかもしれないが、映画を観た者の立場からすると、NPCとしてでもいいから、特定の場所でジェダイを出して欲しかった。遠くでジェダイが敵を薙ぎ倒してくれるだけで、雰囲気もかなり盛り上がったと思うのだが。
インターフェース関連はXBOXに最適化されているらしく、PCだと少しやりにくい感はある。初期のキー配置もやや使いにくいが、カスタマイズすれば問題ないだろう。
マルチプレイにはデスマッチやキャプチャー・ザ・フラッグはあるものの、COOPがないという欠点がある。これはユーザーからもかなり不満の声が挙がっている部分だが、恐らく途中に1人で進んでいくシーンがあったり、通路が塞がってしまうシーンが多いのが原因ではないかと思う。バランスも煮詰め直す必要があるし、COOPでは採算が取れないと踏んだのだろう。

サウンドは期待していただけに正直イマイチ。元がXBOXのゲームなので5.1chの出来は良いのかもしれないが。
初心者にはかなり無難で、ファンからファンでない人まで楽しめる内容だと思うが、経験豊富な人には評価が分かれそうである(特に戦略要素に期待している人)。内容的にはFPSが2/3、タクティカル・シューターが1/3混ざったようなものになっているが、この中途半端さをどうとるかということになるだろう。
個人的にSWRCは、頼もしいNPCが味方として戦ってくれるFPSゲームと見るのがいいのではないかと思う。クオリティが低いわけでは決してないので、それほど拘らなければ一定の楽しさは得られるゲームだと思うが、本格的なタクティカル・シューターを望むのなら避けるのが無難である。逆にSWファンで、何となくFPSをやってみたい、部隊を操ってみたい人には超オススメだ。私自身は別にSWのファンというわけではないのだが、なかなか楽しんでプレイすることができた。
Demo版 4gamer.net/FileFront/3D Gamers/Gamespot
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