Last Updated: 2007.10.10 / First Edition: 2006.12.10
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※:PC(XBOX360)版に関する内容であり、他機種版には対応していない

●概要
Tom Clancyブランドの中でも特に高い人気を誇るSplinter Cellシリーズの4作目。プレイヤーはNSAのエージェントであるSam
Fisherとなり、影に潜んで敵地に潜入して任務を遂行する。今作では単に敵地に潜入するのではなく、凶悪犯罪を企む組織"JBA"に二重スパイとして潜入し、工作活動をしながらJBA,
NSA両組織の任務を遂行しなければならない。任務を失敗する、放棄するなど組織の意向に背く行動を取った場合、プレイヤーの信頼度は低下し、どちらかの組織の信頼度が0になった時点で任務は失敗となる。
●二重スパイという設定
今までのSplinter Cellというのは、主人公の持つハイテク兵器と多彩なアクションを使いこなし、製作者の用意した障害物や敵を乗り越えてミッションをクリアしていくという、オーソドックスなアクションアドベンチャーだった。しかしこの作品は常に「一本道過ぎる」「自由度が低い」という批判を受けており、これを解決するために生み出されたのが二重スパイという設定なのである。両組織から異なる命令を出されるので、それをどうこなしていくかはプレイヤーの自由というわけだ。
その新設定を引っさげて登場したSCDAだが、いざプレイしてみるとゲームプレイに大きな変化はない。一つのミッションをこなしていく中で、JBA(犯罪組織)からはこの人物を暗殺しろ、NSA(米国)からはこっそり盗聴器もつけておけと命令されたりするのだが、結局のところ両組織から与えられる命令を順番にこなしていけばクリアできてしまう。JBAの命令を優先すればNSAの命令に背くことになり、その結果展開が大きく変わる…というようなことは「ない」。ミッションの主目的は常に同じであり、その他の「遂行すれば信頼度が上がり有利になるが、遂行しなくてもあまり問題ない」というセカンダリ・オブジェクティブの遂行権がプレイヤーに託されているだけなのだ。
信頼度という要素も、両者の信頼を得るのが簡単過ぎて上手く働いていない。多くのプレイヤーは両組織の信頼度を高く維持したままクリアすることができるだろう。よって二重スパイという設定は、単にストーリーを複雑にして盛り上げる要素にしかなっておらず、ゲーム性には深く関わっていないと言える。人によっては、むしろ設定がゴチャゴチャし過ぎていて分かり難いだけと感じるかもしれない。

●良く作り込まれたアクション部分
ゲームの進行ルートは基本的に1本道だが、ほとんどのミッションが刑務所から犯罪者を脱走させる、豪華客船に爆弾を仕掛ける、紛争地帯の要人を暗殺しに行くといった、犯罪組織からの命令を遂行するものになっている。ストーリー上はこういった任務の中で密かにJBAの目的も探っていき、最終的にはそれを阻止するということになる。
犯罪組織に所属しているということで、今まで使えたハイテク装備の支給を受けられなかったり、昼間の潜入ミッションが増えているのは変化があって面白い。暗闇に紛れて暗視ゴーグルを装着し潜入…ではなく、目立ちまくりの太陽の下で、大した装備もなしに障害物を利用して潜んだり、タンスの中やテーブルの下に隠れるといった原始的なアクションが必要になる。ハイテク装備に頼らない潜入を演出するためか、前作とは対称的にHUDは大幅に省略されており、重要なことは自分の目で確認しなければならない。
レベルデザインはなかなか良く出来ており、プレイヤーが適切な行動を取ればほぼ全ての敵との戦闘を回避し、誰にも見つからず痕跡も残さずにミッションをクリアできる、というステルスアクションとしての基本がしっかりしている。それはクリア時に表示される達成度の計算の仕方からも伝わってきており、敵を殺したり死体が見つかることはもちろん、気絶させた場合や照明を破壊した場合でも減点される厳しいものになっている。逆に言えば、このゲームはそんな痕跡を残さずともスマートにクリアできるよう作られていますよ、ということである。難易度をHardにすると初期弾薬が0になるのも面白い。
グラフィックは光沢がギラギラし過ぎていて不自然な印象も受けるが、全体的には美しくSplinter
Cellシリーズの名に恥じぬものになっている。DAの特徴は、今までになかった明るい場所での表現力である。吹雪が吹くタンカー上のしっとりとした感じ、アフリカの紛争地帯の渇いた感じなど、モニターからその場の空気まで感じさせるような質感には思わず息を飲む。ヘリからのHALOによる降下、ワイヤーに掴まっての移動など、Splinter
Cellシリーズならではの渋い演出も健在である。

●中途半端なところ
二重スパイという設定もかなり中途半端なものになっていたが、その他にも首を傾げてしまう部分は多い。例えばゲーム中には、犯罪組織の本部での自由行動中にトロイの木馬を仕込む、組織の資料を集めるといったミッションが挟まれるのだが、毎回同じステージで似たような工作活動をやらされるのでかなり退屈に感じる。これらのミッションの中には、アクションゲームに全く関係ないようなパズルをやらされる場面もあり完全に冗長と言える。
インターフェースは見栄えだけ意識した扱い難いものになっており、操作性は改悪されている。装備品の変更はやり難いし、カメラワークが変で見たい方向に視点を向け難い。前作まではTPSにしては見やすいフリールックの操作性が評価されていたはずだが。このゲームには他にも中途半端と感じる部分はかなり多い。

●β版をばら撒いて放置するUbisoft
しかしSCDAの真の問題点は、ゲーム内容が中途半端なことではない。一番の問題はこれが明らかに商品として未完成の代物であり、Ubisoftはサポートを放棄し、バグだらけのソフトウェアがそのまま市場に流されてしまったことにある。まずゲームはXBOX360版からほとんど最適化されておらず、ハイスペックなPCでも満足なフレームレートは得られない。ミドルクラスのPCを使っている人は異常に重いと感じるだろう。
バグは信じられないくらい多発し、クラッシュやフリーズは当たり前。セーブがまともにできない、隠しアイテムがアンロックされない、グラフィック変更が反映されない、敵が必ず同じ場所でスタックする、といったちょっとプレイすれば気づくようなバグが放置されている。バグというものは分かっていればフィックスできるという単純なものではないが、これはさすがにバグり過ぎだろう。完璧にプレイしたはずなのに100%クリアにならないバグにはかなり苦しめられた。
これをそのまま販売しただけでも企業意識を疑うが、とっとと次回作を作りたいUbisoftは、この欠陥商品にわずか2回のアップデートを施しただけで見限り、ユーザーは現在もこのβ版をプレイするしかない有様となっている。2006年には他にもGRAWのPC版が酷い扱いを受けたが、Ubisoft的にはメインの市場はあくまでコンシューマー機であり、PCはオマケに過ぎないと考えているのだろう。
●総評
この作品は完全なる未完成品だが、それでも全くオススメできないとは言わない。核となるアクション部分は良く作りこまれ、そこだけ抜き出せばゲームとして楽しめる内容には仕上がっているからだ。嵐のようなバグに長いローディング時間など、ゲームプレイ以外の部分でストレスは溜まるが、それを我慢できるならトータルでそれなりの満足感を得られるといったところ。
Demo版 4gamer.net/File Front/3D Gamers/Game Spot
SC:DAを購入 Amazon(XBOX360版)/Play-Asia/GDEX
Splinter Cell: Double Agent (C) 2006 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Sam Fisher, Ubisoft, Ubi.com, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.
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