Last Updated:2007.05.06
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●idらしからぬ奇妙なゲームバランス
スプライトによる描画でキャラクターやオブジェクトを表現するのが主流だった時代に、FPSとして恐らく初の完全3Dを実現したのがこのQuakeだった。それまでのゲーム内オブジェクトは、あくまで2Dのものをトリックによって3Dであるかのように見せていたに過ぎなかったが、このQuakeでは正真正銘の3D描画となり、敵を360°からグルグル見渡すことができるリアルな世界を構築し、さらに内部的にも上下の概念が出現した。それ以外にもQuakeworldによる快適なネット対戦や数多くのゲームルールの開拓し、今日のFPSの基礎を築き上げたのである…。
という既出のウンチクを並べた後に本題に入ると、初代Quakeはid作品にしては随分ひねくれている。例えばShotgunだが、Quakeではこれが初期装備になっており、Shotgunの癖に異常な速度で連射できてしまう。ほとんど威力の高いPistolという印象だ。強化版ShotgunであるDouble
Barreled Shotgunさえ1秒間に2発というペースで撃ててしまうのである。敵キャラクターも妙に尖っており、開幕からGrenade
Launcherを連射するタイプのアクの強い敵が登場したりする。普通、こういう癖のある敵は要所に少数配置されるものだ。ところがこのGrenade
Launcherを連射する"Ogre"はQuakeで最も多く出現する敵の1人である。
序盤から連射性Shotgun vs Grenade Launcherという変則的な戦いが続くせいで、この作品の味わいはピュアなFPSというというより、どこぞの会社が作ったカルトゲームに近いものがある。何しろこのゲームをクリアするのに必要な技術は「目前に迫る敵弾を紙一重でかわしていくこと」ではなく「反射するGrenadeの爆風を避け続けること」なのだ。そうなった理由が先にマルチプレイモードが作られたからなのか、長く続くFPS作品のイメージを変えたかったからなのかは分からない。しかしFPSとしてはかなり乱暴な作りに見えるが、初代Quake独自の中世ゴシックホラー調の雰囲気と相まって、この独特のバランスはなかなか味わい深いものに感じる。
Grenade Launcherの話をもう少しいじくり回してみると、この武器が序盤からやたら登場するのは、恐らく3次元マップを活かすためであろう。実際Ogreという敵はプレイヤーの上方に配置されていることが多く、上空から壁に反射して変則的に降り注ぐGrenadeが非常に厄介なのだ。これはDOOMでは実現できなかった複雑な攻撃である。しかし逆にプレイヤーが上を取ってしまえば、Grenade
Launcherはその性質上、弾を満足に飛ばせなくなってしまう。
それにしてもQuakeシリーズのGrenadeは初代から随分リアルな弾み方をするなと、今になって感心する。

●FPSとしてのクオリティは高い
不死のZombieや亡霊のような敵が出てくる中世のジメジメした雰囲気はとても良い。少なくとも他の作品と差別化できている。雰囲気作り自体も非常に上手い感じだ。結局初代Quakeのデザイン的な意味での続編は未だに出ていないため、この独特の世界観を堪能できるのはシリーズでこれだけである。
モンスターにも全員にしっかりとした特徴があり、個性があると同時に恐ろしい敵となっている。しかしDOOMに登場するImp,
Cyber Demonといったインパクトの強い主役級モンスターに匹敵する存在はなく、この点はDOOMシリーズには敵わないところだ。もう一つ残念なのは射撃感覚で、全体的に控えめでDOOMほどのカタルシスを得られない。敵はRocket
Launcherでも当てない限り木っ端微塵にならずにその場でガクリと崩れ落ちるだけだし、一体一体が強めな分敵の数も少なめ。また既に書いたようにShotgunはもはやShotgunとは呼べない代物で、撃っている気があまりしない。より古いDOOMに今でも新作ファイルが出ているにも関わらず、Quakeは既にコミュニティも廃れてきてしまっていることには、この辺のクオリティの差が表れてしまっているように思える。
初代DOOMと同じく、Quakeでは4つのエピソードを好きな順に攻略していくことができる。癖はあるもののバランス自体はかなり丁寧に練られており、毎度のことだが敵やアイテムの配置の仕方がとても上手く、余り過ぎず常に緊張感がある。難易度カーブも非常に美しく描かれており、それはステージを進むたびに程よく難しくなっていくというだけでなく、リプレイした際に上級難易度を選ぶと、相応に難しくなっていくという意味でもある。
4つのエピソードはそれぞれに特徴があり、メリハリのある構成に仕上がっていると言えるだろう。1-2番目のエピソードはオーソドックスな感じだが、3番目はDOOM
2のようなトリッキーなマップが多く、4番目は立体的なマップを活かしたパズルが多い。ただ個人的に問題があると思うのは4番目のエピソードで、謎解きというよりは単に煩雑な気がするし、このエピソードに頻繁に登場する自爆するモンスターには面白味がないというか、イライラするだけでゲーム性に合わないと思うのだ。ラストの展開はあっさりしているのだが結構意外性があるので面白いと思う。

●マルチプレイ
初代Quakeに関してはほとんどマルチプレイを遊んでいないのであまり多くは語れないが、取りあえずゲーム展開の速さが異常。10人以上が揃っているサーバーでDMを行うと、1秒の休みもなしに戦い続けることになる(これは速度以外にもマップが狭いからなのだが)。武器に関してはRocket
Launcherの強さが異常で笑える。ゲームバランスは悪いがテンポは良いので、案外今でも通じる楽しさがある。
●総評
純粋なFPSとしての完成度ではDOOMシリーズに及ばず、癖のあるゲームバランスはグラフィックという皮の剥がれてしまった今では万人に通用しないかもしれない。バランスそのものは優れているのだが、これは今では一種のキワモノFPSと思ってプレイした方がいい。こういう個性とバランスを兼ね備えた作品は最近ほとんど見なくなってしまったので、私としてはむしろオススメしておきたい。
Shareware版 Official Site/3D Gamers
●動作環境
| 必要動作環境 | 推奨動作環境 | |
| OS | MD-DOS 5.0以上、Windows 95/98 | - |
| CPU | Pentium 75MHz以上 | - |
| RAM | 8MB (16MB) | 16MB (24MB) |
| VRAM | VGA互換 | - |
| HDD | 80MB | - |
初めはDOSにしか対応していなかったのだが、WinQuakeによってWindowsに正式対応した。現在主流となっているのはOpenGLを使うGLQuakeにて動作させる方法である。最新のパッチを適用してからフォルダの中にある"opengl32.dll"を削除してから起動させればいい。
●入手状況
2007.10.29 現在
Ultimate QuakeというQ1-3がセットになったパッケージで入手することができる。これには拡張パックは含まれない。単品での入手は困難になっており、廉価版などは現在流通していない状況である。一応idのサイトでは今でも$20でダウンロード販売されているようだ。どうしてもオリジナル版が欲しいならオークションとなるが、中にはシェアウェア版のパッケージもあるので注意。これはパッケージに"Shareware"とシールが張られており、追加料金を払わないとEpisode
1しかプレイできない。実質Demo版と全く同じであり、コレクション目的以外でこのパッケージを入手する意味はないと言える。拡張パックに関してはほぼ海外オークションに頼るしかない状況である。
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