Killing Floor 批評
Last Updated: 2009.06.24 / First Edition: 2009.06.24
Killing Floor(以下KF)はSpecimenというゾンビのような化け物を掃討するために送られた部隊の隊員となり、仲間と協力して戦っていくCo-op
FPS。元々UT2004のModとしてカルト的な人気を博しており、その最終バージョンとなる2.51をSteamで配信できないかと開発者がTripwireに持ち込んだところ、さらにバージョンアップして製品版として発売することになった、というModサクセスストーリーのような経緯を経ている作品である。
なおここではMod版ではなく、2009年に発売された製品版について批評を行なう。この2つはバランスが大分違う。
- 最大6人までで協力してプレイ可能(サーバの設定により50人以上にも拡大可能)
- 特定の能力を向上させる"Perk"を1人1つずつ選択し、役割分担することができる
- 1つの閉じたマップ内で襲ってくる敵を全滅させるとゲームクリア
- 敵のラッシュ(Wave)を耐えるごとに、短時間だがショップが開いて買物可能になる
- 持ち物には重量制限があり、2-3個の武器しか同時には持ち歩けない
- ゲームバランスはややリアル寄りで、武器のレティクル表示がない
- プレイヤー数が増えるほど敵の数・耐久力などが伸びていく
Left 4 Dead(以下L4D)が巻き起こしたCo-opブームに便乗して製品化されたような感もあるKFだが、プレイを続けていくとその本質はCo-opではなく、DoomやQuakeのような、FPSとしてはかなり原始的な面白さを追求した作品であると感じた。
というかこの作品はCo-op FPSとして見ると粗が多い。L4Dのような徹底して協力プレイを推奨(強制)する、洗練されたシステムに比べると時代遅れの設計であると感じる。例えばほとんどの敵はバックダッシュしながらひたすら逃げ撃ちすれば1人でも捌くことは可能だし、味方を回復しようと思っても回復作業が大変にやり辛い。移動している味方を回復するのはあまりにも不確実なので、結局全員自分のケツは自分で拭く感じだ。設計やバランスの問題で協力がし難い上に、協力の必要性そのものも低く、L4Dと比較すると「協力している感」は大分薄い。かといって敵が包囲するように出現するので、最低2人以上で協力しないと面白くないのは確かなのだが…
しかし上記のような欠点があっても私がKFに引き込まれたのは、有無を言わさぬ戦闘そのものの面白さがあるからだ。それぞれ特徴的な攻撃方法を持った敵グループを相手に、特性や性能が全く異なる武器を駆使し、瞬時の判断で行動を選択していくスピード感には妙な中毒性がある。ShotgunとFlameThrowerでは戦い方が大きく変わってくるし、敵も「数の多い雑魚型」「スピードの速い特攻型」「耐久力の高いタンク型」などがグループを形成して同時に迫ってくるので、自分の持っている武器ではどのように倒していくのが最適なのか、プレイヤーには常に複数の選択肢が投げかけられる。KFの戦闘はこの判断の連続となる。瞬時の判断を下していくのが面白い理由は、Mod時代からのアップデートの積み重ねで、全体のバランスが非常に良く整えられているからだろう。
また対AI戦のFPSとしては稀に見るほど「ヘッドショット」に重点が置かれていることも、KFの面白さの1つと言える。KFはほとんどの武器で、ほとんどの敵に対して、ヘッドショットを狙っていくことが前提のゲームバランスになっている。普通に撃つと何十発も叩き込まなければ死なないような硬い敵も、ヘッドショット1発で容易く沈んでしまう。Hard以上の難易度では弾薬も少な目なので、逆にヘッドショットを決めないとすぐ弾切れになる。
開発者がヘッドショットを中心にデザインしていることは、製品版になって全ての武器にアイアンサイトが搭載され、ZED Time(連続ヘッドショットやマルチキルで一定時間スローモーションになる機能)なるシステムが追加されたことからも明らかである。KFには極度に濃厚な「一点を狙い撃つ」Shooter本来の面白さがある。被弾時の敵アニメーションなども非常に良く作りこまれており、プレイヤーは視覚的な手応えも感じられる。KFの妙な中毒性の正体はまさにこれだ。
製品版では最終Wave終了後に強力なボスキャラクターが出現し、こいつを倒さねばクリアとはならないのだが、このボスが昔ながらの正統派パワー型ボスで、今となっては大変珍しい存在である。強力なパワーで正面から問答無用でプレイヤーチームを突き崩してくる姿は古臭いのだが、最近では失われてしまった純粋なボスとのガチンコバトルは非常に熱い。
というか文字だと伝わらないと思うが、このボスが本当に鬼のような強さで、それまで1時間くらいかけて最終Waveまで到達したプレイヤーたちを容赦なく瞬殺してスタート地点ヘ送り返すような鬼畜ぶりなので、こればかりは是非自分の目で確認し、このボスキャラクター打倒に挑戦してもらいたい。
しかし戦闘そのものの面白さはA級と呼んで差し支えない作品だが、協力要素に関しては製品版での追加要素がさらに裏目に出ていると言わざるを得ない。特にまずいのがPerkのレベル制で、特定の武器で敵を殺すほどPerkレベルが向上し、しかもそれはRPGのように恒久的なもので次のゲームにもレベル値は継承されるのだが、これは様々な問題を引き起こしている。
- Perkレベルが違うと能力に決定的な差が生じ、腕前でカバーできる範囲を超えている
- Perkレベルを上げるのに非常に時間がかかる
(1つを最大まで上げるのに40時間以上はかかる)
- 高難易度はPerkレベルが高くないとまともに戦えず、足手纏いになる
- 逆にPerkレベルが上がってしまうと下の難易度が簡単になり過ぎる
- Perkの経験値を稼ぐためにKillの奪い合いが発生する
ゲーム難易度がPerkレベルに大きく依存しているのが根本的な問題点で、そこから連鎖的に別の問題も引き起こしてしまっている。
特に発売直後のNormalサーバはKillの奪い合いが酷くて、協力して敵を倒していくのではなく、いかに他人からKillを奪って自分の経験値を稼ぐかの勝負という、本来の意図とは全く別の対戦ゲームと化してしまっていてかなりうんざりした。
低レベルPerkのプレイヤーが高難易度サーバに踏み込めないのは、KFの厳密な難易度調整機能が裏目に出た結果とも言える。実際に内部のパラメータを調べてみて分かったのだが、KFはプレイヤー数の増加に従って様々な部分を調整しており、人数が増えても常に緊張感を損なわないようにしている。もっと厳密に書くと、むしろ人数が増えるほど難易度が上がるようになっている。それは裏を返せば、その難易度を本来クリアできないようなプレイヤーが入るとその分余計な負担が他のプレイヤーにかかるという意味であり、最終的には「低レベルPerkのプレイヤーは足手纏いだからくるな」という話になってしまう。
これらは現在、レベリング用カスタムマップの普及によりかなり改善された状態だが、それでもPerkのレベル制がもたらす弊害は無視できず、Co-opゲームなのにゲームシステムが協力することを否定するという、意味不明なことになっている。多くのプレイヤーが不要・害悪であるとまで感じている成長要素をわざわざ導入すること自体が誤りと言えるはずだが、有名FPSが相変わらず積極的にレベル制を導入している現状には首を傾げるばかりだ。
総評としては、Co-opゲームとして様々な欠点があるとしても、総合的に見ればやはり優れた作品であると断言できる。欠点をカバーするのに十分過ぎるほどの長所を備えている。Mod時代の遺産として、発売直後から既に数え切れないほどの良質なカスタムマップが出回っていることも、L4DになかったKFの大きな強みと言えるだろう。何かスカッとする、昔ながらのストレートなFPSを遊びたくなったときに最適の1本だ。
なおこの文章を書いている現在は
Steamでのデジタル販売専用なのだが、既にヨーロッパ地域での
リテール版発売も決定している(今夏発売予定)。
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