Last Update: 2008.03.17 / First Edition: 2008.03.16
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Infernalは過去にSoldier Elite(Aurora Watching)などを手がけたMetropolis SoftwareによるTPS。全体的にコンソール向けな仕様で、PS3からの移植であると言われても違和感ないのだが、意外にもPC専用のゲームである。ストーリーはEtherLight(天界)の陰謀に巻き込まれて抹殺されそうになった主人公Ryanが、Abyss(地獄)から悪魔の力を得てEtherLightに立ち向かうというもの。悪側について反モラル的な戦いをするストーリーに聞こえるが、実際にはEtherLightもかなり悪党くさい組織なので悪vs悪といった内容。
●主人公の特殊能力
InfernalはShooterとしての作りにはセンスが感じられないのだが、主人公の使える特殊能力の面白さ、演出の派手さが楽しいゲームになっている。特殊能力発動時の演出(空間が歪む、敵が驚く)は秀逸で、使うだけでも楽しい部分がある。
- Teleportation
Abyssのエージェントが持つ"Mana"を消耗して瞬間移動すると同時に、周囲の時間の流れを遅くする能力。ただしこれは擬似的な瞬間移動で、短時間で元の位置に戻ってしまう。その代わり"ゲーム側の都合で瞬間移動できない場所"が基本的に存在せず、ほぼあらゆる場所に自由に移動して敵に不意打ちを仕掛けることが可能。例えば敵の背後にいきなり移動して攻撃したり、高所から敵を狙い撃ちするのに使える。敵AIのTeleportationに対する反応もよく、背後に瞬間移動してきたプレイヤーに対して一瞬遅れて反応したり、瞬間移動から戻ってきたプレイヤーに気づかなかったりする。自由に空間を飛び回る超能力者のような感覚はかなり愉快で、このゲームの最大の目玉となる能力。
- Teleportation Tool
通常のTeleportationとは違い、自分以外の物質を瞬間移動させてしまう能力。主に重い物を運んで足場にするといった、HL2のGravity
Gunのようなパズルを解くための能力になっている。人間に対して使うこともできるので、敵を空中に移動させて落下死させるユニークな倒し方もできるのだが、瞬間移動の操作に難があり戦闘中には使いにくいのが残念。
- Infernal Attack
Manaを消耗して武器に力を込め、銃弾が着弾した地点に大きな爆発を発生させる能力。Teleportationより多くのManaを消耗して攻撃する能力なので威力が非常に高く、雑魚ならほぼ一撃、一部ボスにはこの攻撃でしかダメージを与えられない。エフェクトがかなり派手で爽快感があり、ボス戦ではいかにManaを溜めて攻撃するかがキーになることもある。

●軽めのグラフィック
グラフィックは独自エンジンながら2007年の作品として十分美しく、それでいてかなり軽い。発売時点でミドルレンジに属するビデオカードを使っていても、最高設定でサクサク動かすことができる。この点は高く評価していいだろう。ただし表面的には綺麗ながらも安っぽく感じる部分が多く、カットシーンのようなアップになる箇所ではモーションのロボットっぽさが露呈する。
●出来の悪いShooter部分
Metropolis Softwareは思いついたアイディアを上手く再現する技術屋、演出家としては高いレベルにあると思うのだが、ゲームの作り込みに関しては残念ながら落第だ。全体的に分かってない感がプンプンする。
まずゲームの展開に捻りがなく、敵の出し方などが適当過ぎで面白味がない。ゲームの開始から終わりまで、延々と数人の敵が正面に出てくる、特殊能力を使って撃退して先に進む、の繰り返しで単調。ゲームバランスもかなりぬるくて、特殊能力すら必要ないような場面が多い。例えばTeleportationの能力なんかは、圧倒的不利な状況においてどう瞬間移動していくかを考えさせればもっと面白くなりそうだが、結局のところ背後から適当に不意打ちしていくだけで簡単に敵を全滅させられるので、せっかくのユニークな能力も活かされていない。武器はピストル系とマシンガン系に大きく分かれているが、それぞれの使い勝手がほとんど変わらず似たような武器ばかりになっている。
またこのゲームでは足音を殺して敵に忍び寄ったり、壁に隠れてカバーしながら戦うことなどもできるが、これは流行のフィーチャーを無闇に寄せ集めただけでゲーム中では全く機能していない。Sneakというボタンを押すとしゃがんでコソコソ移動するものの、レベルの作り的に戦闘を回避するのはほぼ不可能だし回避する必要もない(いくらでもゴリ押しできる)ので、Sneakは単にしゃがむだけの行為になっている。同様に正面から撃ち合ったり瞬間移動をすれば敵は苦もなく倒せるので、壁に隠れて戦う必要も全くない。むしろ壁に隠れると操作が限定されて戦い難くなる感すらある。
戦闘バランスもおかしい。プレイヤーは銃弾を受けまくっても全然体力が減らないのだ。そのくせ敵の死体はAbyssの能力を使って吸収し、死体の分だけ体力を回復させることができるので、正面から敵を強引にねじ伏せていっても体力は常に満タンを維持できる。ボス敵は全部で10体近く存在するが、そのどれもが直線的な飛び道具を単調に投げてくるだけで、連続でローリングしているだけでもほぼ無傷で倒せる。全体的に戦闘に緊張感が感じられない。
このInfernalでもっともつまらない箇所は、実は一番最初のミッションである。最初はチュートリアルも兼ねているのでTeleportationなどの能力が使えず、付加要素のないむき出しのC級TPSをプレイすることになる。この部分で即行で放棄してしまったプレイヤーはかなり多いと思う。その後も特別面白くなるわけではないが、次のミッション2なんかは敵の数も増えてきてそれなりに盛り上がる。
救いとしては戦闘の合間に頻繁に入る謎解き、キー探しのパートが割と面白いことで、単調なゲームプレイがこれで随分マシになっている。謎解きには手の届かないところにTeleportationで移動する、箱を移動させて足場を作る、といった特殊能力を利用したものが多く、理不尽なものもなくちょっと考えれば解けるのが程よい。

●総評
ユニークな特殊能力に軽快なグラフィックと、素材だけならもっと面白いものが作れそうなものだが、肝心のゲームの作りが悪くてせっかくのフィーチャーが活かしきれていない勿体無い作品。特殊能力を使うことと謎解きが面白いゲームなので、サクッと遊ぶ分にはそれなりに楽しめるが、繰り返し遊べるタイプではない。安売りされていれば買ってもいいか、というレベル。
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