Last Updated:2006.10.26
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Hitmanは2000年よりIO Interactiveが開発している人気シリーズの4作目で、海外のみならず日本にも熱狂的なファンを抱えているEidosの看板タイトルである。最初はPCのみで発売されておりマニアックな要素が多かったのだが、その後方向転換をして現在ではコンソール寄りの開発となっている。物はいわゆる三人称のステルス・アクションゲームなのだが、MGSやSplinter
Cellとは違い変装しながらターゲットを抹殺して逃げるという、いかにも洋ゲーっぽい内容になっている。
今回もストーリーには特に意味がないというか、ちゃんとした設定があるのかないのか曖昧な内容である。ゲームの進行は顔に深い火傷の痕がある男が、47の関わった仕事を回想するという形で進み、その男は「47を捕らえた」と一人の記者に語る。ミッションを進めるに従って男の回想は現在まで遡っていき、徐々に47の現状が分かってくる…というものだ。
Hitmanという作品はステルスアクションゲームに分類されるのだが、普通の作品とはデザインのコンセプトが根本から異なっている。このゲームでは最初、プレイヤーは暗殺者としてターゲットのいるマップに放り出されるのだが、このマップがどれも情報が極端に多く詰まっており、最初はその意味を理解することができない。例えばバーに入ってバーテンに話しかけると怪しげな薬を渡されるが、その使い方を教えてくれる人物はいない。しかしあれこれマップを走り回っていると、ターゲットが定期的に飲み物をウェイターから受け取っているのが分かるので、そのグラスにこっそり薬を盛り込めばいいことに気がつく、という具合である。
そしてHitmanのマップ中には、このような仕掛けが大量に仕込まれている。同じターゲットを殺害する方法でもその手口は5,6通りもあり、一度プレイで全てを味わうことなどはとてもできない。最初プレイしたときは、何だか煩雑なゲームだ、と感じるかもしれないが、プレイすればするほどに一つ一つの仕掛けや配置の意味が見えてきて、ターゲットを鮮やかに自由自在に暗殺できるようになってくる。このゲームの本当の面白さは、最初のプレイよりも、むしろ何度かリトライしたあとに初めて見えてくるものだ。
この面白さを支えているのが、開発側のレベルデザインだ。Hitmanの面白さはシステム云々よりもここにかかっている。そしてクオリティに関しては、前作前々作に劣らぬ素晴らしいものに仕上がっていると言って良いだろう。これだけ要素が多いゲームなのに、バランスが破綻していない点が素晴らしく、絶妙である。プレイしていても明らかにおかしい点や矛盾した点がほとんど出てこないのだ。また適当に配置された敵や無意味な空間など一つたりともありはせず、全てに意味がある。これは相当テストプレイに時間を費やした結果だろう。
例えばオペラハウスに潜入してそこにいる俳優を暗殺するミッションでは、普通に観客として中に入りリハーサル中に狙撃してしまうことができる。機材に爆薬を仕掛けて「事故死」させることもできるし、休憩室に忍び込んで背後から締め上げることもできる。そして何と舞台仲間に成りすまして一緒にリハーサルを行うこともできてしまう。普通のゲームでは「俳優に成りすませばリハーサルを行うことも可能なはず」とプレイヤーが考えても、ゲーム側でそこまで作りこまれていないのでいきなり変装がバレてしまったり見えない壁に阻まれるところだが、Hitmanはそのような「ゲームだから不可能」という言い訳をせず、プレイヤーの想像力に応えてくれる。これができるはず、とプレイヤーが考えることを想定し、信じられない範囲まで作りこみ、現実世界と同じような反応を示すのだ。
そしてこのように作りこまれたゲームは、プレイヤーの脳に強烈な刺激を与える。実際このゲームはマップにあらかじめ用意された仕掛けでターゲットを暗殺するだけでなく、このような多彩なシチュエーションを利用してプレイヤー自らの手でクリア方法を創造してしまうこともできるのだ(あらかじめ決められた手段しかない、という意見もあるがそれは誤りである)。特に今作では遠隔操作爆弾が標準装備となり、暗殺のバリエーションが広がった。何気なく歩いている旅行者のカバンにこっそり爆弾を仕掛け、ターゲットとすれ違ったときに爆発させるなど、一人で暗殺方法を考えているだけでヤバイくらい楽しくなる。自由度に関しては歴代最高と言ってもいいだろう。
ちなみにレベルの作り方は今までの作品を継承しているが、雰囲気自体はかなり異なっている。全体的に明るい、平和な場所に潜入しての任務が増えており(結婚式場や真昼の民家など)、ダークで猟奇的な前作とは対照的である。メインメニューも妙に明るい。シリーズの変化を見ると一作目から順に暗め→明るめ→暗め→明るめ…ときているので、これはもしかしたら奇数作と偶数作で意図的に雰囲気を変えているのかも知れない。

誰に変装し、どのように暗殺するのか…全てはプレイヤーの発想次第である。
Hitmanシリーズは基本的にステルス行動による暗殺を前提として作られているゲームなのだが、戦闘行為にも非常に寛大で「別に戦闘重視でクリアしても良い」というデザインになっていることでも有名だ。Splinter
Cellのように戦闘したらとんでもなく貧弱だったということはなく、むしろ戦闘にはかなり強い方といっていい。二丁拳銃を撃ちまくるだけで敵の死体の山を作ることも可能である。
戦闘の新要素として加わったのは「Human Shield」という敵を盾にする行動で、他のステルス・アクションゲームでも御馴染みのものである。銃を持った状態で敵の背後に回りこむと実行することができ、それを見た敵は攻撃を躊躇うので、その隙に敵を倒したり逃げ出すことができる。「Painkiller(痛み止め)」というヘルスの回復手段も追加されたので、戦闘の自由度も前作よりアップしていると言っていい。他にも武器を使わず正面から肉弾攻撃で気絶させることも可能となっている。
ただしバランス的には虐殺が簡単過ぎるのが相変わらず問題点となっている。じっくりステルスで進めるよりは敵を銃声でおびき寄せて、片っ端から殺していく方が楽なのだ。また銃撃戦になると嫌でも敵が大量に飛び込んできて、結果として大量虐殺になってしまうこともある。この点はあくまでプレイヤーの楽しみ方に任せるといったところか。このゲームは銃殺によるカタルシスはあまりないので、派手な戦闘になってしまったらロードし直すとか徹底して逃げるとかしないとつまらなくなってしまう。また肉弾攻撃は相手の背後を取らなくとも容易く無力化することが可能なため、少々強過ぎな感は否めない。このバランスをどう改善するかは今後も課題となるだろう。
それでも適度に戦闘を混ぜることにより、ゲームはより一層楽しくなる。玄関を見張っている警備員の目の前で銃を抜き取り、おもむろに銃殺して何事もなかったかのように潜入するといった”演出”をプレイヤー自ら考え実行する楽しみもある。レベルデザインの項目にも書いたように、ただ単にクリア効率を考えると大して面白いゲームではないのだが、プレイヤーが自分から楽しむ姿勢を保つことでいくらでも面白くなるのだ。

ステルスだけではなく、映画のような演出に酔いしれるという楽しみ方もある。クリアだけを考えるのはあまりにも勿体無い。
このBlood MoneyのAIだが、はっきり言って2002年にでたSilent Assassinと大差ない。当時は実にリアリスティックなAIだと思ったが、4年も変化がないとさすがに物足りなくなってくる。例えばこちらに注意を呼びかけてきた敵の背後に忍び足で回りこみ続けるといずれ見失ってしまう、追いかけてきた敵が通り過ぎて見失う、連係せずに突っ走ってきて曲がり角で全員銃殺されるなど、昔からの変な部分がそのまま残っている。
変更点としては走っている姿を見たり肩がぶつかったりしてもほとんど警戒しなくなったこと、血痕に反応するようになったこと、武器を地面に落としたときの音にも反応するようになったことが挙げられる。反応は全体的に鈍くなっており、武器を持ったまま背後で音を立てても、今作では振り向くまでの間に攻撃が可能になっている(このためダッシュで一気に間合いを詰めることができる)。プレイヤー側の潜入手段が多彩になったことを考えると難易度はより下がっており、旧作のファンにはやや物足りない。
私がBMに一番期待していたのはAIの進歩だったのだが、これは残念だった。下手な新要素の充実よりもAIの改善が先決と言えるだろう。最もこれには難易度の問題(賢いAIは欺くのがより難しく難易度が高まる)や処理の問題(マップ内の人数が増え続ける傾向にあるので、AIが高度化すると重くなる)があるのかもしれないが、もうちょっと何とかして欲しいところだ。具体的に私が求めるのは変装を見破ろうとする能力だろう。同じシステム・同じAIを相手にし続けていると、今までと同じセオリーが通じてしまうので変化に欠ける。

AIとの駆け引きはマンネリ気味。次回作までに大きな変化を求めたいところだ。
Blood Moneyの大きなフィーチャーとして取り上げられていた報酬システムは、バランスが悪く上手く働いていないという印象が強い。報酬システムとはクリア時にその働きに応じて報酬が振り込まれ、ステルスを保っているほど高収入になるシステムのことである。高位の称号を獲得するとボーナスが付くし、逆にダメージを受けるとペナルティとして天引きされてしまう。そして報酬によって武器をアップグレードしたり、他人を買収して悪名を消すことができるのだ。
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何故上手くいっていないかというと、まず第一にアップグレードの魅力に欠ける。そもそも銃器による攻撃手段の強化はゲームの性質上それほど嬉しくないし、アップグレード抜きでも十分戦闘可能である(欲しいのはサイレンサーくらい)。またショットガンやアサルトライフルもアップグレード可能だが、これらの武器は大きくて隠しながら持ち運ぶことができないため、そもそも使おうという気が(完全に戦闘重視の人を除いて)起こらない。よって金を費やすのは使い勝手の良いピストルやSMG、小道具類に限定されてしまい、選択に悩むことがない。 そして第二に金が余る。アップグレードするべき対象が限られている上に報酬は高めなので、普通にプレイする限り必要なもののアップグレードには困らない感じだ。もちろん全てを最大までアップグレードするにはSAランクの獲得が不可欠だが、他の武器は別にどうでもよいものが揃っているので、金が余ったら割り振る感じである。 |
報酬システムと連動して今作には「悪名」という要素があり、ミッション中に目撃者を活かしたままにしておくと、次のミッションでNPCから警戒を招きやすくなるという風になっている。これは確かに、目撃者ができてもその人間を消してしまえば悪名はつかない、と面白くなりそうな可能性は秘めていたのだが、肝心の悪名が余りある金によって簡単にもみ消すことができるので、私は初回プレイ時から常に悪名0であった。
客観的に見ると、この報酬システムはHitman初心者に対しては面白い要素なのかもしれない。戦闘をしがちな人ならそれなりに金に困ることもあるだろうし、武器のアップグレードも心強いかもしれない。だが少なくともステルス中心でプレイする限り、このシステムは微妙であると思った。
| グラフィックは前作に比べれば大きく進化している。特に47のセルフシャドウの渋さや窓の外から流れ込んでくる淡い光は美しい。前作と比較すると明るい場面での任務が多くなるのでグラフィックの良さは分かりやすく、そういう意味でもグラフィック的に見るべき点は増えていると言えるだろう。何より色合いにセンスを感じる。全体的に落ち着いた色調で、日常に溶け込むゲームの雰囲気に合っている。人体の輪郭は普通のゲームに比べるとふっくらした感じであり、そこには質感が感じられえる。また同時表示可能人数が大幅に増えており、場所によっては100人近くのNPCが人ごみを作っている場面もある。 | ![]() |
サウンドは銃声がよりリアルになり、特にサイレンサー付きの銃を発砲したときの音が良くできている。ただしサブマシンガンの発砲音などはやはりFPSゲームに比べると大きく劣っており、撃つだけでは面白味がない。EAXにも対応しているのだがこれは相変わらず弱く、臨場感に欠けてしまっている。サウンド面は相変わらず貧弱であり、残念なところだ。BGMはこれまでの曲とは少しイメージが変わり、やや大人しい感じのものが増えた。個人的にはBGMの出来でいうと前作前々作の方が好みだったのだが、このBMの落ち着いた曲も悪くないと思う。前作「Contracts」のメインテーマのリメイクが流れるのはファンには嬉しい限りだ。
ゲームシステムにはあまり変化がないが、レベルデザインはやはり一級品である。そのためシリーズのファンやHitmanは初めてという人には十分楽しめる作品だと思う。実際私も夜を徹してプレイに励んでしまったほどだ。しかし今のシステムのままでは、次回作あたりでさすがに飽きられてしまいそうな雰囲気はある(私は別に構わないと思うだが)。そろそろこのシリーズも、もう一皮剥けるべき時期にきたのかも知れない。
Demo版 4Gamer.net/FileFront/3D Gamers/Game Spot
*:デモはチュートリアルの一本道ミッションなので、あまりお勧めできない。
Hitman: Blood Moneyを購入 Amazon(XBOX360版
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Hitman: Trilogyを購入 Amazon/GDEX/Play-Asia(北米PS2版)
*:Trilogyは2-4作目の英語版がセットになったパッケージ
*:PCの日本語版はAmazonと7dream限定
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