本編との相互作用が上手いFPSアドオンのお手本
PCゲーム批評 「Half-Life: Opposing Force」

Last update:2006.12.30
攻略/HOME



【アドオンの意義とは】

FPS業界、というかPCゲーム業界では、売れたゲームは取り合えずアドオンを作ってしまえ、というような悪習がある。商業的に見ると既に一度完成させた作品なのであとは追加レベルを作るだけだし、有名作品のアドオンならある程度売れることは確定しているので堅実に儲かるのだ。既に古くなったタイトルを「Gold版」などと称して再販する狙いもあるのだろう。ところが内容を見てみると、どうも手抜きでよく出来たMODというレベルの作品が多い。ま、結局アドオンなんて商売上作っているだけで、作品的にはクオリティの低いどうでもいいものが大半なわけだ。

だがあの傑作FPSゲーム「Half-Life」はアドオンまで一味違った。まず斬新なのが本編と同じ舞台、同じ時間帯で、別の主人公を通して事件を体験するというザッピング形式のストーリーなことである。有名な場面では本編の主人公であるフリーマンが異世界へのテレポーターへ飛び込む場面に、今まさに飛び込むという瞬間に到着し、自分がかつて体験した場面を第三者の立場から目撃することになる。ここで普通のプレイヤーなら「自分もフリーマンを追って異世界に行こう」と考えるところだが、実際にワープしてしまうと足場のない場所に転送されて死亡してしまう。また逆に異世界から地球にワープすると、本編のトレーニングコースに移動してしまうといった面白いハプニングが用意されている。Opposing Forceはただ単にストーリーが交差しているというだけでなく、本編をプレイした人間がデジャブを感じられるように工夫した演出がなされており、本編とアドオンの両方のストーリーを同時に奥深くしている。

プレイを演じるキャラクターが敵対勢力(Opposing Force)であるという点も興味深い。本編であれだけ苦戦させられた海兵隊員を仲間にしてエイリアンと戦うという面白さがある。また主人公が軍人なのでミリタリー要素が随所に加えられており、例えば本編のマグナムの代わりにデザートイーグル、フラッシュライトの代わりにナイトヴィジョンという風に装備が変更されている。もちろん性能も色々と異なる。他にも最初のトレーニングコースが「Boot Camp」という題名で映画フルメタルジャケットまんまの演出だったりとか、とにかく様々な場面に作りこみを感じる作品だ。


敵対者の視点から本編の主人公を追っていくことになる



【本編には及ばないがゲームバランスも良好】

バランスに関しては本編よりかも甘めに作られており、弾薬はかなり豊富である。難易度も下げられており、シビアな場面は所々にあるがそれほど難しくはない。かといって簡単過ぎるわけでもなく、難易度カーブは教科書のようである。前作の「Surface Tension」のような嘘かと思うような絶妙のバランスとは比べられないが(外注であるし)、並のFPSは軽く上回っていると言っていい。謎解きはHLらしく物理法則に沿ったものが用意されており、周囲を観察して謎を解く方法を推理する必要がある。武器とエイリアンはかなりの数が追加されており、今まで戦ってきたエイリアンの生体を利用して作られたバイオ兵器などが手に入る。新種のエイリアンにも他の敵とは違う特徴を持ったものが登場し、新しい戦い方を考えなければならない。

逆に問題があるのは仲間の扱い。Opposing Forceでは3種類の仲間が存在しており、衛生兵、エンジニア、ソルジャーがいる。この仲間たちも謎解きに関与しており、例えばエンジニアを連れてきて閉じたドアを焼き切ってもらわなければならない場面なんかがある。これは面白いので良しとしよう。ところが大半の味方は強敵と戦う場面の直前にわざとらしく配置されており、ほとんど捨てゴマ同然に扱っていかなければならない。しばらく研究所を彷徨っていたところで仲間に出会い、ああ安心と思ってもみんなその直後に殺されてしまう。また生き延びさせたとしてもAIは段差を上ったり出来ないのでやはり捨てていくことになる。タクティカルなゲームのように命令を出すこともほとんど出来ないし、Opposing Forceにおける味方とは単なる弾除け以上の意味を持たない。

それとこれだけプレイしていて楽しい内容にも関わらず、ラストシーンだけが妙に手抜きのような印象を受ける。ラストボスなのでネタバレは避けるがあまりにもしょぼく、何故このような盛り上がりに欠けるラストなのかと首を傾げてしまう。


味方が謎解きに関わることもあるが、多くの場面では捨て駒のように配置されており面白味が少ない



【総評】

アドオンであるが謎解きも含めて10時間前後は遊べると思うし、総合的なクオリティは高い作品である。特に現在ではSteamを通じて、本編さえ持っていれば無料でダウンロードすることができるのは大きい(ただしSteam版はクイックロード後の微妙なフリーズなどがうざったい)。このアドオンの後は、他のFPSも見習ってザッピング形式の凝ったものを用意してくるかと思うところだが、相変わらず事件の後日談程度のものばかりで、ミッションパックの域を出ないのが大半であるのにはガッカリだ。


Demo版 File Front/3D Gamers
*:古いバージョンのDemoは本編が必要、File Frontのは大丈夫

Half-Lifeを購入 Amazon
ゲームを快適に動かせるPCを探しているならG-Tuneあたりを参照



攻略/HOME

Half-Life: Opposing Force(C)1998-1999 Sierra On-Line, Inc. or Valve LLC. All rights reserved. Gearbox and the Gearbox logo are trademarks of Gearbox Software, LLC.

Text version 1.0
(C) GAME LIFE 2004-2006 All rights reserved.