仮想空間で自由に暮らせるクライムゲーム
Grand Theft Auto 3【グランドセフトオート3】 レビュー

プレイ時間:3周クリア
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プラットフォーム:PS2,XBOX,PC
ジャンル:TPS(3D Action)

発売日:2001.10.22
製作:Rockstar North
販売:Rockstar Games

備考:
カプコンより完全日本語版(PS2,XBOX,PC)を廉価版として発売中

体験版:
なし

【PC版動作環境】

必要動作環境 推奨動作環境
OS Windows 98/ME/2000/XP -
CPU Pentium3 450MHz以上 Pentium3 700MHz以上
RAM 96MB以上 128MB以上
VRAM 16MB以上 32MB

【あらすじ】

ここは自由の街、リバティシティ。強盗、放火、汚職、殺人などの犯罪が平気で行われている無法地帯だ。そして今日もここであなたは、仲間と共に銀行強盗をして一山儲けようとしていた。しかし逃走する際、女仲間のカタリーナに裏切られて警察に捕まってしまう。ところが護送中に運良く事件に巻き込まれて助かり、一緒に護送中だった囚人エイト・ボールと共に逃走することになる。あなたの目的は囚人仲間のつてを通じて犯罪組織の中でのし上がり、自分を裏切ったカタリーナに復讐をすることだ。


【概要】

PS2で発売された途端凄まじい速度で売り上げが伸び、世界中で大ベストセラーとなった話題作。あらすじにも書かれている通り犯罪者となって組織の中でのし上がるというクライムゲーム(犯罪ゲーム)で、本作はこの分野の先駆者といえる存在である。ゲームはミッションベースでストーリーを進行させていくものだが、ミッションごとに新しいマップに行くという方式ではなく、「リバティ・シティ」という一つの広大な3Dの仮想現実空間の中で様々な事件が発生するという方式だ。

このゲームは驚異的な売り上げが話題となる一方、倫理的な部分でも非常に問題になったゲームでもあり、GTAに関する裁判話は数えればきりがないほどである。本国の方ではGTAの真似をして実際に犯罪を犯すという事件まで発生してしまったほどで、現在も続編の内容などで激しい議論を呼んでいる。また日本でも神奈川県が有害図書に指定し、県内での18歳未満への販売を禁止にするという自体が発生した。


【自由】

本作の最大の特徴は、とにかくあらゆる行為が自由であり、プレイヤーに許可されているということである。このゲームでは今まで倫理的な理由で削除されてきたあらゆる行為を行うことができる。まずどのような行為が自由化されているのかをまとめてみよう。

【暴力行為】
あなたは自分が望んだときに、特別な理由などなくても、仮想現実空間で生活をする人たちに自由に暴力を加えてよい。暴力を加える手段は肉弾での殴打の他、鈍器、銃器を使ったり、車で使ってひき殺すこともできる。もちろん暴力の結果相手が死んでしまう場合もあるし、逆に怒った相手が反撃してくる場合もある。またミッションで特別に設定されているのでない限り、人を殺したところでプレイヤーに直接的なペナルティはない。

【窃盗行為】
あなたは仮想現実空間の中に存在する車を、あなたが欲したときに自由に盗むことができる。駐車場に置かれている車や放置自動車はもちろん、道を走っている車のドライバーを無理やり引き摺り下ろし、所有権を奪うことも出来る。そうして奪った車は、以後一切の制限なく自分のものとして壊れるまで使用することが可能である。また窃盗をすること自体にペナルティが課せられることはない。

【ミッション選択】
あなたは自分が望むときにのみ、好きなミッションを進行させることができる。ミッションからミッションへ連続して繋がることはなく、次の仕事が用意されている状況でも、無視してドライブや犯罪行為を楽しむことが可能である。

【クリア方法】
ミッションにより制限のあるものもあるが、ミッション(犯罪行為)を行おうとするときに持ち込む武器や、使用する車は自由である。また特別な理由がない限り、ターゲットを殺害する手段などは何でも構わない。

注意して欲しいのは、あくまで犯罪を犯しても”直接的な”ペナルティはないということである。犯罪をしている様子を警官に目撃されたり、あまりにも度が過ぎていると指名手配され警察に追いかけられることになってしまう。これについては後ほど詳しく解説する。


【GTAの持つ自由度とは何なのか】

上の解説で、とにかく本作はあらゆる行為が自由化されたゲームであることが分かってもらえたと思う。さて、ここで考えたいのは、これら様々な種類の「自由」からくる本作の面白さは何なのか、GTAとは何なのかということだ。ここで勘違いしないで欲しいのは、GTAがただ単に犯罪をしまくることのできるゲームで、好きなだけ人殺しや車の窃盗をして終わりという底の浅いゲームではないということだ。それはGTAの面白さの一面に過ぎず、GTAの持つ自由度とはそんなちっぽけなスケールではない。

GTAが目指したものとは「遊び方、楽しみ方、プレイヤーの目的すら自由」なゲーム性である。すなわち、あなたは仮想現実の街の中で犯罪を好きなだけ犯して日々の鬱憤を晴らしてもいいし、生真面目にミッションクリアに励んでもいい。また復讐など忘れて、ミッションも進めずにひたすら車に乗って流れるラジオを聴きながら観光を楽しんでもいいし、好きな車を捜し求めてコレクションしてもいい。警官に捕まらずにどれだけ犯罪を犯せるかを実験してみても構わない。「プレイヤーがリバティ・シティの住人となり、そこで自分のしたいことをする」 これこそがGTA3というゲームの本質である。

実際、このゲームはミッションを全てクリアしても特別なことは何もない。ミッションのクリアとは開発者の用意しておいた課題が終わったということだけで、ゲームの終わりを意味するものではないのだ。


【仮想現実空間】

GTA3が自由なゲームだということは散々書いたが、その自由度の根幹を支えているのが「リバティーシティ」という架空の島の作りこみである。リバティーシティは現実の街をモデルにしているので、奇抜なデザインやファンタジックな要素は一切出てこない。普通に道路が敷かれ、ビルが建ち、建設現場のうるさい音や繁華街の賑わいが聞こえてきそうな「どこにでもありそうな風景の一つ」なのである。また街であるからには当然人がいる。道路を車で走っていれば歩道に何十人、何百人という通行人を見かけるだろう。周囲の車を運転しているドライバーは交通法を守り、ごく普通に生活をしている。何も干渉しない限り、平和で穏やかな街なのだ。

しかしそこに「プレイヤーが操作する主人公」と「出現する人物や動きのランダム性」が加わると、凄まじいドラマが生まれる。例えばプレイヤーが通行人を殺し、その姿を警官に見られ追いかけられることになったとき、パトカーの突進を避けて横に逃げたらそのパトカーが奥にいた通行人を巻き込んでひき殺してしまうことだってある。またFBIと凄まじいカーチェイスをすることになり、崖にあるカーブをあなたが素晴らしいドリフトで曲がった直後、後ろにいるFBIの車はスピードの出しすぎで曲がりきれず崖の下に転落し、あなただけが生き延びて逃げられることもある。また軽い犯罪を犯して、徒歩で追いかけてくる警官から悠々と逃げている最中、警官の発砲した弾が一般車に当たって暴走させてしまいあなたをひき殺す事だってあり得るのだ。これらの結果は全てプレイヤーの動きと、それを追うAIのランダム性で決まる。

つまりこの世界では「ミッションで意図的に発生するイベント以外は、リアルタイムかつダイナミックに、常に生成されている」のである。これが革命的といえる。並みのゲームなら製作者側の意図した演出に沿って進むだけなのだが、GTAではどんなハプニングが待っているか誰も予想できない。リバティーシティで体験することは、プレイヤー1人1人全く違う内容なのだ。


【ドライビング】

GrandTheftAuto(車泥棒)の名の通り、本作はアクションよりドライブをすることに重点を置かれている。大抵のプレイヤーはこの広大な街を行き来するために、徒歩の時間よりもずっと長く車を利用するはずだ。

このゲームをプレイする前はもっとアーケードライクな動きをするのかと思っていたのだが、実際には意外によく作りこまれていたので驚いた。重量、重心、寸法、空気抵抗などから挙動が計算されており、割としっかりした挙動を示してくれる。衝突時の計算もしっかりしていて、軽めなもののちゃんと現実世界で車がぶつかったような動きを見せてくれるし、重量による衝撃の大きさも見事だ(例えば全速力の消防車と普通車が正面衝突した場合、普通車の方が圧倒的に大きく吹き飛ぶ)。車の種類は約52種類あり、普通車、スポーツカー、トラック、消防車、パトカーといったものから、戦車のような変り種まである。もちろんそれぞれ挙動や特性が異なる。ちなみに視点は5段階あり、俯瞰〜後方、主観、シネマチックと選べる。


【ゲームプレイ】

ミッションは基本的に、犯罪者の依頼人 - 例えばマフィアだとか日本のヤクザだとか - から依頼される。冒頭でも述べたようにミッションを開始する権利は完全にプレイヤーに委ねられていて、好きなときに依頼人の場所へ行き、仕事を引き受けることが可能だ。ミッション内容も多岐に渡り、売春婦を車で送る、邪魔者を消す、証拠品を積んだ車を処分する、尾行する、レースに参加するなど、飽きがこないように用意されている。

そしてミッションを遂行するときも、プレイヤーの発想次第で様々な攻略法が生まれるのが画期的といえるだろう。例えば敵の工場内に潜入して敵を殺すときは、通常まず敵のトラックを奪い潜入することになる。しかしそんなことしなくても工場の壁を車を踏み台にして乗り越えることもできるし、銃を撃ち込める場所を探して工場の外から攻撃することもできる。またマフィアのボスを暗殺する任務では、車に乗る瞬間をビルの上から狙撃してもいいし、あらかじめボスの邸宅前を奪った車のバリケードでガチガチに固め、家に逃げられないようにしてもいい。敵を殺すにしても正面から撃ち合ってもいいしそこら辺の車を盗んで突撃してもいい。プレイヤーが普段から生活する仮想現実世界を舞台に事件が発生するため、事前工作をすることもできるし、その世界の環境を利用して様々な工夫をすることもできるのだ。ただ勘違いしないで欲しいのは、作りこまれた世界であるためにプレイヤーの創意工夫次第で何とでもなるという話で、ゲーム自体がステルス物のように色々な選択肢を教えてくれるわけではないということ。そのため適当にプレイしている限りはそこまで自由度を感じるわけではない。

メインミッションのほかにもサブミッションというものがあり、これは2種類に分かれる。一つはゲーム進行には関係なくいつでも引き受けられるミッションで、通常のミッションだけでは物足りない人はこれで補えるし、早く進めたい人は無視すればいい。もう一つは特殊車両を利用したミニミッションで、タクシーやパトカーを奪うと実行できる。これにはタクシー運転手としてひたすら客を運ぶもの、自警団として犯人を殺しまくるものなど様々な種類がある。いつでも何回でも挑戦可能で、しかも客の位置などはランダムで決められるため、ゲームクリア後もひたすら遊ぶことが可能である。


【ミッションの問題点】

特に日本のプレイヤーにとって痛手なのは難易度の高さである。このゲームは一発でクリアできるミッションというのもあるが、中盤以降はシビアなミッションが増えて3,4回やり直さないとクリアできないものが増えてくる。特に最終ミッションはかなり厳しい難易度と言えるだろう。しかもGTAはあくまで仮想現実で生活したり車を運転する操作に特化しているため、アクション時の操作性やカメラワークが良くない。そのため操作ミスで死んでしまうことも結構あり、ストレスがたまることも多い。まあミッションが難しい分それを無視して遊ぶこともできるので、気長なプレイヤーにはあまり問題にならないのだが、とにかくミッションをガンガンクリアしていこうとする人は楽しめないだろう。またそういうゲームでもない。

一番問題なのはアンロック関係かもしれない。これは不満である。というのもリバティ・シティは3つの島に分かれているのだが、ミッションをある程度クリアしないと次の島が開放されないのだ。特に最初の島だけでは狭いので、ミッションを進めないで気楽にできると言ってもサボリ過ぎているとあまり動き回れない。もちろん歩き回って探索するには十分な広さなのだが、ドライブするにはある程度アンロックしないと狭いと感じる。


【その他システム】

ゲーム中には「指名手配度」というものがあり、非常に重要な要素になっている。これはプレイヤーがどれだけ重犯罪を重ね、また目撃されてきたかを示すもので、手配度が高いほど強力な国家機関に狙われる。段階は1から6まであり、1や2だと窃盗や殺人犯程度、3-4で警官殺しなどの犯罪者、5-6は様々な破壊行為を重ねてきた重犯罪者として扱われる。軽い罪なら警官に追い回されたりパトカーに追われる程度で済むのだが、指名手配度を上げるとSWAT隊がバリケードを作って道路を封鎖していたり、ヘリが機銃掃射してきたり、果てはFBIや軍隊までもが出動してプレイヤーを追い回すことになる。特に最後の2機関は強烈で、軍隊などは車を使って逃げようと瞬殺してくるほど強い。それらの敵からなんとか逃げ回りながらカーチェイスをするのは非常に楽しいが、これも島同様、ある程度進めないと上位の敵が出現しないのが残念だ。ゲームを進めるほど面白くなる、という側面もあるのだが、やはり最初の島だけではボリューム不足に感じる。

武器は野球バット、拳銃、サブマシンガン、ライフル、手榴弾、火炎放射器などが用意されていて、結構豊富である。特にスナイパーライフルや手榴弾は使い方次第で敵を一方的に殺すこともできるので、ミッションでは上手く利用したい。他には火炎放射器で人を燃やすと、しばらく逃げ回った後焼死してしまうのも面白い。武器はミッションクリアで与えられる報酬で購入することもできるし、敵や警官から奪うこともできる。

セーブは各島に一つずつある「隠れ家」を利用するのだが、島そのものはさほど広くないので苦労しない。ミッションや事故で死亡することは多いが自動で治療費を引かれた後病院に運ばれて復活できるので、セーブしたところからやり直しという事態は発生しないのが良い。


【グラフィック】

広く大きく作ってある分、一つ一つは荒い。最初に出たのはPS2版だが、PSとPS2の中間くらいのグラフィックである。色々なものを同時に表示するため物の大きさは小さめに表示され、特に人間はマネキンのようだと感じる。遠景表示も得意ではなく、あまり遠くまでは見えない。ただしXBOXとPC版ならPS2よりずっと美しく映るので、それらを使用するなら特別荒いとは感じないかもしれない。まあ仕様上仕方がないので、このゲームでグラフィックに対してあれこれ言うのはフェアではないだろう。


【サウンド】

普段歩いているときはBGMなしで、銃声は並程度か。これらの仕様は、ゲームを現実の世界に近づけるためである。しかしこれだけだと味気ないゲームになってしまうのだが、このゲームでは車の運転中にラジオをかけて音楽やトークを聴けるというのが斬新である。その種類も実に豊富で、普通にプレイしている限り全て聞き飽きるというようなことは決してないはずだ。またラジオなので、いつでも好きなチャンネルに変えることができる。ただし流れている内容は全て同時に進行するので、違うラジオを聴いていて戻したら、元の番組が終わっていたということもある。ラジオのトークに関しては日本語版でも英語のままなので、日本人には分かりにくいという欠点もある(話自体は面白いのだが)。車の発する音自体は非常に良好。


【ストーリー】

特別な設定などはなく、内容自体は極めて現実的である。裏切られた男の復讐劇ということで、続編に比べるとこの3が最も悲壮感あるストーリーとなっているが、ミッションそのものはコメディみたいに進むので暗いわけではない。続編とは違い主人公は一切しゃべらないのも特徴。これは「プレイヤーが仮想世界の住人になる」というコンセプトとは良く合致しているものである。例えばあなたの操るキャラクターが、勝手に自分の主義主張を語り始めたら「これは自分ではない」と気づかされてしまうだろう(それでも話の都合上やりたくないことをやらされてしまうこともあるが)。オープニングの物悲しい音楽と合わせて、雰囲気作りなどは成功している方だと思う。


【マルチプレイ】

実装されていない。ただしPC版のみMTAというMODが開発されていて、これを利用することにより一つのリバティーシティに複数のプレイヤーが存在することができる。なお負荷のためだと思うが、マルチプレイ中はNPCが出現しなくなる。


【総評】

ゲーム好きの中にも、GTAがただ犯罪を自由に出来るだけの底の浅いゲームと考えている者は多いが、それらは大きな誤りである。これほど良く出来た仮想現実世界で、プレイヤーの望むまま自由に生活できるゲームというのは今までになかった。そのためこれはアクションというよりはシミュレーションと呼ぶこともできるだろう。自由度が高い反面プレイヤーの想像力や能動性にも大きく左右されるゲームなので、絶対にオススメというわけではないが、遊びつくす自信がある人には是非体験してもらいたい作品である。


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