基本的に前作のまんまだが、追加要素は面白い
Grand Theft Auto: Vice City 【グランドセフトオート: バイスシティ】 レビュー

プレイ時間:シングル2周、100%クリア達成
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【基本情報】

プラットフォーム:PS2,XBOX,PC
ジャンル:TPS(3D Action)

発売日:2002.10.27
製作:Rockstar North
販売:Rockstar Games

備考:
カプコンより完全日本語版(PS2,XBOX,PC)発売中

体験版:
なし


【概要】

PS2最大のベストセラーとなり、同時に数多くの社会問題も引き起こしたGrand Theft Auto(以下GTA)。人を殺すのも車を盗むのも自由、ミッションを進めることすら自由という、そのあまりに高すぎる自由度は世界中に数多くのファンを生み出し、洋ゲーという垣根を越えて日本の家庭用市場でも数十万本を売り上げるという快挙を成し遂げた。その続編である今作は新たな町「バイスシティ」を舞台に、新しい主人公とミッション、そして数々の新要素を追加した正当進化作品であり、既に日本の家庭用市場でも50万本を越えるベストセラーになっている。


【ストーリー】

時は前作から少し遡り1980年代。アメリカの東海岸に位置する、犯罪組織と大金持ちの別荘、リゾート施設がすし詰めになった小さな島、バイスシティで事件は起こる。15年の服役を終えようやく自由の身になったトミー・ベルセッティは、復帰後の仕事としてファミリーからブツと金を交換する、簡単な取引をしてくるように頼まれた。ところがそれはトミーをはめるために仕組まれた取引で、突然取引相手に仲間は殺され、金もブツも奪われて逃げられてしまう。取引に失敗したトミーは何とかその金を取り戻すために、逃げた奴らの跡を追い始めるが…。


【南国の島を舞台にしたGTA】

今回のGTA:VCでは前作の無機質な都会から一転させ、暑い日差しの下にヤシの木が生え、ビーチでは観光客がバレーを楽しむような、いわゆる南国のリゾート地を舞台にしている。プレイヤーはこの自由と娯楽と犯罪とが入り混じった町で、前作同様好きなように殺人や窃盗、ドライブを楽しんだり、与えられるミッションをこなしていくのだ。基本的なゲームシステムは前作GTA3を踏襲しており、大部分は同じなので、今回は変更点に的を絞って分析していきたい。

まず車に乗って気がつくのは、遠景描写の美しさだ。初代GTAはまだ2Dだったので真上から見下ろす完全な俯瞰視点だったが、GTA3で斜め45度くらいになり、VCではさらに低い角度がデフォルトとなり、より遠くの風景が見れるように調整された。遠くに生えるヤシの木や巨大なホテルを見ながらスポーツカーを操るその姿は、往年の名作「アウトラン」をプレイしているかのようだ。次に人々の挙動にも注目してもらいたい。今まではただ単に道を歩いていたりする程度だったのだが、VCではスケートで道路を走る者、ビーチで寝転んでいる者などがいて、前作よりもキャラクターのパターンが増えている。また人種も普通の白人からコロンビア人、ハイチ人、キューバ難民という風に変更が加えられており、マップの雰囲気はかなり変わっている(ちなみに今作ではハイチ人団体から訴訟を起こされており、そのせいで後期のディスクでは一部のミッションが削除されてしまっている)。

さらに前作でも好評だったラジオから聞こえるBGMだが、今作ではGTA3で儲かった資金を元に、実際に80年代に流行った大ヒット曲(マイケル・ジャクソンの曲など)を盛り込むというゴージャスな仕様になっている。実際には前作で収録されていた曲も実在の曲だったのが、やはりVCで採用されている曲に比べると日本での知名度は低く、あまり聞いたことがないような曲が多かった。このような手法はベストセラーゲームの続編ならではの力技で、スマートとは言えないもののプレイヤーにとっては嬉しい要素といえるだろう。実際私も音楽なんてクラシックくらいしかまともに聞かないのだが、VCの曲は元がかなりのヒット曲だしゲームの雰囲気にもあっているので、良質のBGMとして楽しむことができた。

マップは、制作期間が約1年と短かったものの前作と同等かそれ以上によく作りこまれている。マップの広さ自体はやや広がった程度なのだが、前作では3つの島を舞台にしていたのに対し、今作では大き目の二つの島を繋ぐことで、メインの機種であるPS2でのローディング回数を減らすようにしている(高性能なPCなら一瞬なので関係ないが)。他にもマップ中に点在するジャンプポイント、100個隠されているシークレットなどの探索し甲斐のある作りこみは健在だ。また一部の建物はイベント以外でも常時出入りすることができるになっている。


【面白い新要素の数々】

新要素の筆頭としてまず挙げられるのはバイクの追加だろう。これはハッキリ言ってかなり面白い。まず一般車両より加速力があって、減速しがちなGTAの世界でも非常にスピーディーに動くことができるし、小さくて小回りが利くので車両の間を一気に通り過ぎたり、怯える一般人の間をスイスイと運転するのは非常に気分が良い。ただし車に比べてかなりデリケートで、正面衝突したりすると間違いなく吹き飛ばされてしまうが、バイクはかなり頑丈に作られているので何度でも乗りなおすことができる。さらにGTAの物理エンジンを活かして回転ジャンプや壁登りといった高度な技を独自に編み出し実践することも可能なので、かなり操作のし甲斐がある車両だと思う。他には前作で敵しか乗ることのできなかったヘリに乗ることができるようになっており、これによって広大なバイスシティを一気に移動することができるようになっている。何より、空を自由に飛ぶというのが新鮮でこれもなかなか面白い。前作でも一応セスナがあったが、気流の流れに乗る必要のある難解な挙動(何故か翼が切り取られているため)で乗りこなせる人間は限られていた。そのためか今回登場するヘリや飛行機は直線的・直感的な挙動をするように変更されており、かなり乱暴な操作でも飛び続けてしまうのでシミュレーション性は皆無になっているが、GTAでわざわざ難しい操作に四苦八苦したくないのでこれで十分だと言えるだろう。シークレットをコンプリートしていくと、前作の戦車よりも強力な最強の軍事兵器に乗ることもできる。

武器は主に近接系装備の充実が計られ、チェーンソーやナタ、日本刀といった結構ヤバ目なものが追加されていて、これで町行く人々を斬り刻めるようになった。さらに銃器以外にもこれら近接武器での車両破壊も可能になったので、前作の単調になりがちな殴打だけの格闘戦から、車両や人間を片っ端から破壊していける暴徒プレイが可能になった。これは前作で歯がゆい思いをしていた人もいると思うので、地味に嬉しい変更点と言えるかも知れない。

前作では隠れ家(セーブポイント)が各島に一箇所しかなかったので、セーブをするためにわざわざ足を運ぶ必要があったが、今作では物件を購入していくことができるようになり、ここから定期収入を得たり、物件を隠れ家としてセーブポイントを増やしていくことが可能になっている。また物件からの収入は結構大きいので、前作であったミッションを遊びつくした後の資金不足(武器が購入できない)が解消されている。さらに同時に保管できる車両の数が増えたので、特殊車両を増やしたいやり込み派にはこれまた地味に嬉しい追加要素である。


【吉と出るか凶と出るか仕様変更】

追加要素は基本的にゲームをより面白い、自由度のある方向へ運んでいるが、賛否両論の変更点もある。まず犯罪に関する判定がシビアになっており、特に潔白の状態だと人を少し轢いただけですぐ犯罪レベルが上がってしまう。これは主にGTAをクライムゲーム、殺戮ゲームとして遊んでいた人たちに不評な変更点で、すぐ警官に追いかけられるようになるので殺戮を存分に楽しめないという不満が挙がっている。他にも車の運転が苦手な人は、ミッション中に誤って人を轢いてしまい、それが原因で捕まりミッション失敗になってしまう可能性がある。ただ私としては、GTAは普段は日常に溶け込んでコッソリ犯罪をし、いざとなったら普段隠していた本性を曝け出して暴走するのが楽しいと思うので、こういうリアリスティックな調整も悪くないと思う。

他には主人公のトミーが独自に人格を持ち、ゲーム中もベラベラ喋り捲るようになったというのも結構大きい。GTA3の主人公は終始無言でプレイヤーが感情移入できるように配慮されていたのだが、VCではストーリー性を重視してトミーがはっきりと自分の言葉で話すようになっている。私の考えとしては、やはりこういう自由度が売りのゲームでは、主人公は無口無言でプレイヤーの分身であるべきだと思うのだが、トミーの性格はGTAの世界に適合しているし、価値観や倫理観を喋り過ぎることはないので、まあそれほど悪くはないと感じる。


【総評】

南国のリゾート地のような環境はGTAの世界観に適合しているし、GTAならではの自由度やカタルシスはそのまま受け継がれている。ゲームシステムはほとんど変えずに面白い追加要素を導入しているので、今までのファンも安心してプレイすることができるだろう。ひたすらドライブをしたり、下らない遊びを考えながら長時間遊べるゲームなので、焦らずに腰を据えてじっくり遊びつくしてもらいたい。


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