ゲリラ戦FPSの真髄ここに有り
PCゲーム批評 「Far Cry」

Last Update: 2007.12.24 / First Edition: 2007.12.24
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凄い。

過去に広大なアウトドア空間を活かしたステルス&ゲリラ戦系のFPSはいくつかあったが、どれも欠点を抱え(AIが馬鹿とか)、ユーザーはそれらを「まあゲームだから」として許容していた。Far Cryはそのような妥協を許さず、野戦FPSに必要な要素を不足なく取り入れ、あらゆる技術的制限を乗り越えて作られた恐らく初のFPSである。


●広大なフィールド、騙される敵

元々CryENGINEの純粋なデモの目的で作られたFar Cryだが、それだけにグラフィック技術は素晴らしい。歩き回ると何十分もかかる巨大な空間を、最初のローディングのみでシームレスに移動することができる。しかもある程度遠くまでしっかり茂みや木が描画されており、本当に広大なジャングルを歩き回っているかのような感じを受ける。

Far Cryではこの広大なマップのあらゆる箇所に敵兵が配置されており、しかもプレイヤーに見える範囲で突然空間にスポーンするような不自然さはなく、最初からきちんと配置されている。プレイヤーは広大な密林に放り出され、武器と双眼鏡とカムフラージュ能力を活かし、配置された大勢の敵による防衛線を突破してゴールまで辿り着かなければならない。フィールドの形や敵の種類は変わっていくが、基本的にこのような構成のレベルを順番に踏破していくことになる。

優れているのは人間的なAIである。マップ中に生えている茂みを遮蔽物として認識し、そこに潜んだプレイヤーをしっかり見失ってしまう。しかも単純に隠れられたら即見失うのではなく、プレイヤーが大体そこにいるのではないかと予測し追跡してくる、かなり自然な思考の仕方である。思考プロセスもしっかりしていて、例えば茂みに隠れたプレイヤーが石を放って音を鳴らし、敵を誘導しようとする場合、石を投げる瞬間を見られると逆にこちらの位置がバレてしまうが、敵が背を向けている隙に石を投げると、音だけしか聞かなかったAIはちゃんと騙されて誘導される。足音をかき消すほどの爆音が鳴っているときは移動音に気づかなかったり、一度姿を見せた場所にプレイヤーがいると仮定して探索にきたり、行動にほとんど嘘が感じられない。

これによってFar Cryでは、嘘みたいに広いジャングルの中で敵兵士相手にリアルなゲリラ戦を繰り広げることができる。遠距離から敵の位置を確かめ、茂みの中から狙撃。敵が探索に来る前に隠れながら移動し、ノコノコとやってきた敵部隊の尻にアサルトライフルをぶち込む。こういう今まで様々なクリエイターたちが夢見ては達成できなかったジャングル戦を本格的に楽しめる。


●Far Cryにおけるステルス

戦いの主導権は常にプレイヤー側に渡されている。敵兵士たちはプレイヤーの存在に気づくまでは割とのんびりしているし、装備品には多少茂みに隠れている敵の居場所もマークして教えてくれるハイテク双眼鏡が備わっているからだ。つまり最初に無警戒状態の敵の位置を双眼鏡でほぼ把握してから行動を開始できるので、どう攻めるかはプレイヤーが自由に、じっくり考えられる。遠くから1人ずつ狙撃していく、ボートで島を迂回する、ジープで強行突破する、茂みを這って隠れながらゴールを目指す…など、マップによっていくつもの戦略が考えられる。

ステルスについてだが、Far Cryにおけるステルス要素とは一時的に敵の目を眩ますなど、基本的には戦闘を補助する手段になるようだ。バランス的に見て、全ての敵をかわしていくのはハイリスク・ローリターンになっている。

その理由として、まず気づかれずに敵の背後を通過することが困難で、這ったりしゃがんで移動していてもそれなりの移動音が発生して気づかれてしまうことが挙げられる。このため狭い箇所を敵が封鎖していると、その時点でステルス不可になる。またセーブがチェックポイントのみに限定されており、這ってジリジリ進むステルス作戦だと実行に10分くらいかかる癖に見つかったら即死ということになりかねない。そんなのよりは遠くから狙撃していく方が、やり直しも簡単だし敵を削って行く作戦なのでリスクも少ないということになる。これはちょっと勿体無い。バランス的にはもっと移動時の足音を小さくし、クイックセーブ可能な仕様にすればステルスの選択肢が増えてさらに面白くなったと思う。


●欠点

アウトドアFPSの常として狙撃作戦が安定し過ぎるという感じはする。何しろ最序盤に手に入るM4ですら伏せて狙えばある程度遠くにいる敵をヘッドショット可能なので、遠くで隠れている主人公に群がってくる敵を次々と撃退していけば、気がついたらフィールドの敵を一掃していたというステージは多い。遠くから一方的に狙撃されて死ぬ敵にAIも糞もないので、これだけやっていくと少し物足りないかもしれない。

また屋外の広大なフィールドでは長所が目立つ敵AIだが、屋内戦になると途端にボロが出る。音が発生した方向へ愚直に調べに来るので、扉の横で待ち構えているプレイヤーに1人ずつ特攻して瞬殺されるという、HitmanのAIと全く同じミスを犯すのだ。しかもなまじ野外向けに聴覚が鋭くなっているため、プレイヤーが扉付近を歩いただけで隣の部屋の敵全員が警戒態勢になり、殺されにやってくるという間抜けっぷりなので、プレイヤーとしても待ち伏せしないわけにはいかない。結果として屋内戦は、やってくる敵を順番に射殺していく銃殺刑ゲームにしかなっていない。Far Cryは広大なフィールドで戦略的に戦うから面白いのであって、銃撃音が玩具みたいで射撃感覚も弱いこのゲームで適当に屋内戦をしてもつまらない。

後半になるに連れて敵の耐久力が上がっていくのはいいが、このようなつまらない屋内戦が増えるばかりか、一撃でアーマーを剥いだり、透明化するミュータントが暴れまわったり、正確無比なロケランを連射してくる歩兵が出現したりするので、難易度的に結構厳しくなってくる。アクションゲームが苦手な人はベソ掻きながら頑張るしかない。


●総評

現時点における野外戦FPSの一つの完成形、と言っていいかもしれない。FPSゲーマーの欲求をそのまま実現したようなゲーム。ストーリーがハリウッド映画を観て興奮した中学生が書き上げたかと思うくらいチープとか、ハメ技を使わないとクリア困難な場面があるとか、糞っぽい部分もあるけど存分に楽しめる傑作。


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●動作環境

必要動作環境 推奨動作環境
OS Windows 98SE/ME/2000/XP -
CPU Pentium3 1GHz or AMD Athlon 1GHz Pentium4 2GHz or AMD Athlon 2GHz
RAM 256 MB 512 MB
VRAM 64 MB 128 MB
HDD 4 GB -

発売した2004年の段階ではDOOM 3と並ぶ重量級タイトルであり、設定をある程度上げて快適に動作させるには推奨環境のPCでも力不足と言える。Pentium4 3GHz, RAM 1GB, GeForce 6600GT 128MBの環境では設定をHighにしても快適に動作する。Athlon64 X2 5600+, RAM 2GB, GeForce 7800GTX 256MBなら1280*1024のフルオプションでも100fps前後が安定して出る。OSはVistaでも起動はするらしい。


●入手状況と日本語版

ゲーム中に広告が表示される代わり、完全無料になったフルバージョンをダウンロードで入手することができる。プレイするにはUbi.comのアカウントを北米の住所で取得する必要があるが、日本に住んでいてもCountryをUnited Statsにすれば問題なくプレイ可能なようだ。日本語版は最初にメディアカイトからメニュー・字幕が日本語表示されるものが発売され(キャンペーン価格版もあり)、英語と日本語を切り替えることができるので互換性にも問題がない。現在はイーフロンティアから日本語版の廉価版が発売されている。

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