戦略的思考と征服感をくすぐるゲーム性が実に良い
Dungeon Keeper 【ダンジョンキーパー】 レビュー

Last Updated:2006.06.18

【基本情報】

プラットフォーム:PC
ジャンル:Real Time Strategy

発売日:1997.7
製作:Bullfrog Productions
販売:Electronic Arts

備考:
完全日本語版発売中。日本語版では音声・字幕切り替えが可能。追加ミッションを収録した「Deeper Dungeon」が存在し、オリジナル版とセットになった「Dungeon Keeper Premium」(この題名のものはどうやら日本語版だけらしい)も完全日本語版で発売中である。

体験版:
英語版と日本語版で一本ずつあり


【概要】

何を今更、とでも言いたくなるような有名タイトルである。デザイナーはシミュレーションゲームの申し子とも言うべきピーター・モリニュー。氏は他にもポピュラス、ブラック&ホワイト、フェイブルなどの作品を手掛けており、世界でも有数の有名クリエイターとして名を知られている。そしてその氏が手掛けるのだから、この作品も当然このゲームでも善と悪というテーマを扱っているのである。

ゲーム内容としては、プレイヤーは悪の親玉であるダンジョン・キーパーとなり、思いのままにダンジョンを創造し、そこにやってくる正義の英雄たちを倒すというものになっている。穴を掘ってダンジョンを構築し、部屋と部屋を通路で繋いで、罠を作りモンスターを配置して、ダンジョンの心臓部「ダンジョンハート」を破壊されないように勇者達を返り討ちにしなければならない。また時には敵対するキーパーとの戦いになることもある。

平和な王国を滅ぼしていくというだけで、別にこれといったストーリーはないようである。まあシミュレーションゲームに関しては、ストーリーはない方が想像も膨らむというものだ。


平和な村や町の下にダンジョンを作り、ノコノコとやってくる勇者達を返り討ちにせよ。見事滅ぼした土地は荒廃していく。


【自分自身のダンジョンを築き上げる】

特に少年時代からゲームをプレイしている人なら、誰しもRPGに物凄く熱中していた時期があるだろう。あるいはビデオゲームが一般家庭に普及しだすもっと前からRPGに興味があった人は、TRPGに夢中になっていたかもしれない。そしてRPGをプレイし、ダンジョンを彷徨いながら考えることは何だろう。この先にはどんなモンスターが待ち受けているのか、どんな罠があるのか、どんなボスがこのダンジョンを支配しているのか…。そして逆に、自分がこのダンジョンの創造主なら、どういう風にダンジョンを作って侵入者を撃退するかを考えたことはなかっただろうか。このダンジョンキーパーは、既に作られたダンジョンを進むだけのRPGとは逆に、自分自身がダンジョンを構築してやってくる敵を倒すというリアルタイムのシミュレーションゲームなのである。

まずダンジョンのデザインを決めることから始めなければならない。このゲームでは時間が常にリアルタイムで進行し、さらに多くの作業は自分の僕である小悪魔のインプに行わせなければならないので、シムシティなどのように一瞬でパッパッと作れるわけではない。ノロノロ作っていればその間に敵がやってきてしまうし、手際の良さも実力の内なのだ。

デザインは重要な要素だ。どのくらい大きい部屋を作り、どういう風に通路を作って連結させるかは、自分で考えなければならない。そしてダンジョンに罠を仕掛け、勇者達を効率よく葬るのだ。例えばわざと一本だけ無防備なように見える通路を作っておき、そこに罠をばら撒くのはどうだろう。罠には電撃、毒ガス、落石などがあり、それぞれ効果が違う。また魔法の扉といったものを作り敵の侵入を制限することもできる。逆に穴だらけのダンジョンを作れば、四方八方から敵が攻めてきてとてももたないだろう。

ある程度穴を掘って部屋や通路になる場所を決めたら、そこに部屋を設置する。ダンジョンを作り上げるための費用はインプに金鉱を掘らせて稼がせなければならない。それから魔界に通じるゲートをくぐってやってくるモンスターたちのためにねぐらや食糧庫を作ってやり、訓練室や図書室も作って僕をさらに強化したり、新たな呪文を習得させるのだ。ここで注意してもらいたいのは、プレイヤーは全てのモンスターを従える絶対的な魔王ではなく、あくまでダンジョンという一つの空間の支配者に過ぎないということである。モンスターは非常に現金なやつらで給料を与えなければ怒って帰ってしまうし、ねぐらや食糧庫がなくても不満をもらす。勇者と戦ってもらうまではモンスターの気分を害さないように注意せねばならない。

ここで「何だ、ただのモンスター育成シミュレーションなのか」と思ってしまった人も安心して欲しい。ダンジョンキーパーにはもっと色々なギミックが満載してある。

特に面白いのが、牢獄や拷問室といった倒した敵を閉じ込めておく空間だろう。現れた勇者は殺すことなく牢獄に捕らえておくこともできる。牢獄に捕らえたまま獄死した者はスケルトンやゴーストになり、主人はプレイヤーに変わってしまう。牢獄から拷問室に入れるとどこからともなく出現した魔法使いがハンマーを撃ち続けて苦痛を与え、ダンジョンには勇者どもの悲鳴が響き渡るだろう。そして苦痛に耐えかねた勇者はついには屈服して、あろうことかキーパーに忠誠を誓い、今まで仲間だった他の勇者に襲い掛かるのだ。さっきまで「邪悪な者たちめ、私が貴様らを滅ぼしてやる!」と勇敢な台詞を吐いていた勇者が寝返って僕になったかと思うと…なかなかゾクゾクくるものがあるではないか。それだけではない。強く攻撃し過ぎて死んでしまった敵は、墓場に持って行って葬ることができる。もちろんこの墓場はただの墓場ではなく、いくつもの屍が土に帰ると中からヴァンパイアが復活するのだ。

これらの敵を利用して自軍を増強できる部屋は、それだけで戦略的にも面白いし、悪の創造主としての征服感もたまらないものがある。ナレーションも異様に凝っており、支配する王国を眺めると「意味もなく浮かれ騒ぎ、楽しみがいつまでも続く土地。苦しみという言葉の本当の意味も、恐ろしい暴力が、気まぐれで彼らを襲うことも、住民は誰一人知らない」といった台詞が聞こえてきて、その王国を征服すると「 ここはおまえのおかげでその名の通り、恐怖の土地となった。命を軽くみる、健全な土地だ。みじめな住人たちに人喰いの習慣ができたと聞けば、さぞ嬉しかろう」というような、悪の解説がつく。


拷問具にかけられ、苦悶の叫びを上げる勇者達。屈服しない者は回復呪文で無理やり延命させ、寝返るまで痛めつけよ。


【常に忙しいリアルタイム進行】

このゲームではモンスターが非常に重要な存在となっている。何故ならやってくる敵は罠だけでは到底防ぎきれないので、最終的にはモンスターにトドメを刺させなければならないからだ。そしてモンスターを扱うために、プレイヤーは一般的なシミュレーションゲームとは違い、忙しく動き回って世話と管理をしなければならないのである。

例えば今にも勇者が来そうだというのに、チンタラ仕事をしているインプがいたとしよう。そういうときは自分自身が作業をするための「悪魔の手」を使ってインプをぶん殴ればいい。痛めつけられた僕は体力が少し減るものの、恐ろしくなって途端にキビキビ動き出すだろう。魔王ではなくともやはりこのダンジョンの主はプレイヤーなのだ。動きの遅いモンスターはビシバシ殴って働かせなければならない。

勇者達が罠を突破してしまったらモンスターの出番だ。悪魔の手で戦闘に参加させるモンスターをピックアップし、敵のいる場所に落とすと戦闘が始まる。訓練で鍛えたモンスターが死ぬのは大きな損失なので、死に損ないはできる限りつまんで逃がすために戦いはしっかり見守って援護しなければならない。またプレイヤー自身もモンスターに研究させた魔法を使って、敵の頭上に稲妻を降らせたり落石を発生させて攻撃することもできる。常にあちこちで作業をしなければならないので、敵が全滅するまではなかなか気が抜けない。

リアルタイムストラテジーの要素がもたらす恩恵は、プレイヤーの努力・技術次第で戦況を変えることができるということである。つまりダンジョンを作るという頭脳的な面と、素早く的確に操作して技術で敵を圧倒するという二つの面を併せ持っているのだ。戦略勝ちできれば労せずクリアできるし、上手いやり方が分からないときも頑張って操作すればある程度強引に切り抜けることが出来る。これが作ったらただ単に眺めるしかなかった従来のシミュレーションゲームと違うところであり、ゲームを奥深くしている。

ゲームバランスとしては、様々な角度から攻略できるものもあるし、半分パズルのようになっているステージもある。じっくりモンスターを育て上げられることも多いが、時間が経つと速攻で勇者が攻めてくることもあり、時間内に限られた資源で上手く敵をさばかなければならなかったりする。ステージはどれもちゃんとコンセプトを持って作られており、似たような展開ながら、毎回違う課題を出されて試行錯誤させられる。結構難易度が高いし20レベルもあるので、クリアには30時間以上かかるだろう。


壁を突き破って勇者達が侵入してきた。モンスターを出撃させて敵の勇者を撃退しなければならない。


【非常に良く作りこまれたモンスターたち】

このゲームで良く出来ていると感じるのは、モンスターたちの個性だ。多種多様なモンスターたちがそれぞれに特徴を持っており、能力的なことから性格的なものまで何から何まで違う。

例えばウォーロック(魔法使いのモンスター)とヴァンパイアは仲が悪く、ねぐらが同じになると争いを始めてしまうため、ねぐらを2つ作って別々の場所に住まわせてやらねばならない。ダークミストレスは拷問が好きなマゾヒストで、勇者が拷問されるのを見学にやってきたり、自ら拷問されにくる。ヘルハウンドはじゃじゃ馬で、目を離すとダンジョンの奥へと進んでいってしまう。ホーンドリーパー(赤い体に角を生やした、パッケージ画像にもなっているモンスター)は最強のモンスターだが、ねぐらに玉座を作ったりと非常に傲慢で気性が荒く、扱いを間違えると怒って他のモンスターを虐殺してしまう。

またモンスターはゲートを通ってダンジョンにやってくるわけであるが、完全にランダムでくるわけではない。クリーチャーによって住みたくなるようなダンジョンが違い、例えば拷問室があれば拷問好きなダークミストレスがくるし、大きな宝物庫があれば宝好きのドラゴンがくる、という風にダンジョンの作り方である程度やってくるものをコントロールできる。自分の好きなクリーチャーだけを掻き集めて大軍団を作ることも可能だ。

まだある。このゲームには「支配」という魔法があり、それでモンスターの体を乗っ取って自由にダンジョンを動き回ることもできるのだが、そのときも飛んでいるモンスターに乗り移るとちゃんと空を飛べるし、トンボのようなモンスターを支配すると視界が複眼になり、ヘルハウンド(犬)を支配すると物が全て白黒に見えたりと、異常に良く作ってある。ちなみに乗っ取っているときの3D画面は、DOOMと同じような擬似3D画面である。


オークを乗っ取って見た、玉座で眠るホーンドリーパー。扱いにくいが実力は申し分ない。


【非常に奥の深い内容】

実はこの支配の魔法が、このゲームの奥深さを支えている。支配中は基本的にそのモンスターの取れる行動を全て取ることができるのだが、AIの操るモンスターは実力の半分も発揮できていないのだ。しかしプレイヤーが乗っ取ることにより、インプなら5倍くらいのスピードで仕事をさせることができるし、ドラゴンはあらゆる敵を瞬く間に抹殺できる潜在能力を秘めている。また敵の攻撃を避けるのもお手の物だ。数で不利な局面なども、この支配の魔法を駆使することによって切り抜けることができる。

他にも開始直後に強力なモンスターを送り込んで敵を壊滅させたりだとか、雑魚モンスターを囮にして敵の主力部隊をトラップで皆殺しにしたりだとか、2周目以降は裏技的な攻略法を考える楽しみがある。このゲームはクリアするだけなら強力なモンスターを育てて突撃という単純プレイでも何とかなるが、このような別の楽しみ方もあるのだ。


【不満を述べてみる】

ダンジョンキーパーは実に素晴らしいゲームだが、不満がないわけではない。こうすればもっと面白くなったのに、という点がある。

まずこれはシミュレーション系のゲームの宿命かもしれないが、初作だけあってインターフェース、特に操作性が悪い。例えば8体のドラゴンをピックアップして敵の眼前に落とそうとした場合、8回クリックしてドラゴンを拾い上げ、もう8回クリックして下に落とさなければならない。20体移動させるなら40回クリックする必要がある。戦闘が激しいステージなどはひたすらクリックする必要があるため、難しいステージはクリアするたびにどっと疲れてしまう。Shift押しなどでいっぺんに運べるようにするべきだろう。これは部屋を作成するときも同じで、1タイルずつクリックして部屋を作らなければならないので大変だ。

またゲームとしては用意された手段をフルに活用すればモンスターを自由自在に操れるように出来ているのだが、初回プレイとなると説明不足で、モンスターが思い通りに動かせずイライラすることがある。インプに先に進んで欲しいのに死体を運ぶのに夢中で全然進展しなかったり、モンスターが敵を攻撃せず勝手に帰ってしまうことがあるのだ。やり方が分かればどうということはないのだが、熟練するまでは結構イラつかされる。説明書にはFAQでもつけてもらいたかった。

罠が単純でやや弱め(逆に落石は強すぎ)な設定になっているが、もっと複雑なものがあった方がいいだろう。罠の種類が多ければさらに地形を戦略的に利用できたはずだ。ダンジョンキーパーでは確かに地形の作り方が大切なのだが、期待していたほどではない。コンソールで似たようなコンセプトのゲームに「刻命館」というのがあるのだが、罠にはあれくらいのバリエーションと応用力が欲しいものだ。例えばかかった敵を閉じ込めるトラップなどがあれば面白かったのではないだろうか。

モンスターは強弱が決まり過ぎている部分がある。最終的にはドラゴンやヴァンパイアなどが定番中の定番となってしまい、バリエーションに欠ける。罠が単純なことなども含め、キャンペーンの後半あたりにくるとワンパターン気味になり少しマンネリ化してしまう。もっとモンスターごとに一長一短があった方が良かったと思う。あとステージによってはある程度モンスターを育てる必要があるのだが、育成中にすることがなくて暇になることがある。

最後にこれが一番の不満だったりするのだが、せっかくダンジョンを作って敵を「迎え撃つ」という内容なのだから、もっと敵が攻めてくるというステージを増やして欲しかった。というのも中盤以降は敵対するキーパーとの戦闘ということがほとんどで、わざわざ敵のダンジョンに乗り込んで破壊しなければならないのだ。こうなると何のために自分のダンジョンを創造したのか分からない。というか私はプレイするまで、敵がガンガン攻めてくるのを罠で撃退するゲームだと思っていのだが。


確かに罠が決め手になるステージというのもあるのだが、全体的に単純で応用力に欠けるものが多い。


【マルチプレイ】

このゲームはあくまでシングルプレイ向けのゲームなので、マルチプレイは重要視されていない。しかもLANでしか対戦できない(Kaliでも可能らしい)ので、残念ながらマルチプレイをやってみたことすらない。しかも物凄く重くてまともにゲームをするのが困難なようだ。


【ディーパーダンジョン】

現在発売されているバージョンは、主にこのディーパーダンジョンが付属したバージョンであるが、これは新たに追加された14レベルを楽しめるというものである。ただ内容はオリジナルキャンペーンの延長でしかなく、いかにも手抜きっぽい。新たなモンスターや部屋といった要素はなく、内容も生産できるモンスターの制限などが厳しく、ほとんどパズルのような内容なのでなくてもいいようなものだ。一応難易度は高めで各面ごとに攻略法を考える必要はあるので、オリジナルのボリュームで満足できなかった人は挑戦してもいいかもしれない。


【総評】

とにかく面白く、夢中になる。徹夜でクリアしてしまったほどだ。作戦をあれこれ考えてダンジョンを作るのが実に楽しい。ピーター・モリニューの名は伊達ではないと言えよう。難易度は高いがやりがいがあり、クリアするまでとても充実した時間を過ごさせてくれる。ただ最低でも効率の良い理論的なダンジョンの作り方なんかが書かれたウェブサイトは、クリアまで読まない方がいいと思う。右脳をフル活用し、自ら考えるところにシミュレーションの楽しさはあるからだ。グラフィックは昔のものでそれなりだが、基本は2Dなので劣化は少ないし、ゲームの中身を考慮して遊べる人なら全く問題ないオールタイムベストなゲームといえよう。


Demo版 FileFront/3D Gamers

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【動作環境】

必要動作環境 推奨動作環境
OS Windows 95/98 -
CPU Pentium 90MHz以上 Pentium 133MHz以上
RAM 24MB以上 32MB以上
VRAM 1MB以上 2MB以上




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