Hellは最高に面白いが、中途半端な部分が目立つ
PCゲーム批評 「Doom 3」

Last update:2007.09.21 / First Edition: 2007.03.20
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●概要

FPSの代名詞として世界的に熱狂的なファンを持ち、未だに遊ばれ続けている伝説的ゲームの続編。本作は初代のリメイクという位置づけで、火星基地にやってきた宇宙海兵隊の主人公と、地獄のゲートをくぐってやってきたモンスターの戦いが始まる。内容的には非常にオーソドックスで、システム的にこれといった特徴はないがシンプルな味わいで楽しませるという従来のDoomと同じ方向性。


●D3 Engineの圧倒的な描画能力

(開発したidにとって)Doom 3最大の売りとされた部分がコレ。2004年夏の時点で圧倒的に美しく、且つ綿密に描かれたグラフィックは、素人にもJohn Carmackの偉大さを0.3秒で認識させてしまうほどの迫力だった。主要なモンスターたちはもちろん、研究所の壁面やパイプの一本一本にまでびっしりと描き込まれた様子は圧巻である。最高設定のUltraに必要なVRAMは512MBということからも、そのテクスチャ容量の大きさがよく分かる(付け加えておくと、当事の市販されていたVGAに単品で512MBに達するものはなかった)。

欠点としては、ホラーゲーム用に作られたエンジンなので影が非常に濃いことが挙げられる。真っ暗な部分はライトを当てない限り描画されていないのと同じなので、HL2やFarcryに比べて美しい世界をじっくり眺めるという楽しみは少ないし、暗いので戦闘に集中し難い。また同エンジンの弱点として、接近すると対象の輪郭などが粗く見えてしまう。


●低過ぎる難易度、足りない緊張感

アクションゲームとして見た場合のDoom 3最大の問題点は「簡単過ぎる」という点に集約される。プレイ中、あまりにも簡単なので誤ってEASYを選択してしまったのかと思ったくらいだ。どれくらい簡単なのかというと、Armorを半分まで減らすのが難しいくらい簡単。回復アイテムはそこら中に…落ち過ぎている。にも関わらず、出現する敵の数はDOS時代の半分以下ではないだろうか。よほどアクションゲームが苦手でない限り終盤まで死にようがない。

2周目はHardにしたのだがそれでも簡単過ぎ、最高難易度Nightmareの「体力が強制的に25に戻される」という状態でようやく緊張感が出ることからも、ダメージバランスの甘いことが分かる。難しいのが好きな者は高い難易度を選択すればいいのだ、という考え方だとしたら、それはバランス調整の放棄でしかない(大体最高難易度は最初から選べない)。

このあまりにも簡単過ぎる難易度設定によって、Doom 3はプレイ中の緊張感を著しく損ねてしまっている。敵の攻撃が全く怖いと思えず、攻撃を受けても受けても死なないので、避ける必要すらないほどだ。Impの火炎球はどう見ても殺す気がない。こんな適当なゲームバランスではちっとも工夫しよう、何とか敵の攻撃を回避しようという気が起きず、敵を無理やり薙ぎ倒すだけになってしまう。こういうのはアクションゲームとして非常に退屈である。


●ビックリさせるだけのホラー演出

超リアルなグラフィックで、暗闇の中から突然Zombieが襲い掛かってきたり、ヒタヒタと足音を鳴らして動き回ったりする。だがDoom 3のホラー演出というのはこれだけで、心理的な圧迫感が感じられない。何しろ主人公が完全に無敵化しているから、貧弱なZombieが群れで襲い掛かってきたところで全く怖くない。最大の問題点が、このような子供騙しのホラー演出と、雑魚敵を一方的になぶり殺すだけの似たようなシチュエーションが延々と15時間近く続くこと。ここは退屈なので30分くらいにするべきだった。ボリュームがあるほど良いという考えは大きな間違い。


●Hell以降は素晴らしい

実はこれらの欠点は、Hell(地獄)と呼ばれるステージまで行くと消失してしまう。ここからは今までのヌルい展開は何だったのかというくらい凶悪なモンスターが待ったなしに襲い掛かってくるようになり、ハイテンポの戦いで一気にヒートアップする。難易度も油断すれば死ぬというレベルまで上がり、生死の見えぬギリギリの戦いが心地良い。それまではあまりにも冗長なので少しずつプレイを進めていたのだが、Hellに入ってからは一気にクリアしてしまった。最も面白い部分だけを抜き出すとするなら、2004年のベストはこのHellステージになる。


●モーションの作り込みなどは一級品

体力が余り過ぎてしまうという致命的な欠点を除けば、Doom 3は他のFPSとは比べ物にならないほどアクション部分が作りこまれている。最も面白いのはImpとの接近戦だろう。このImp、火炎球による攻撃と引っかきを使い分けてくるが、それだけでなく火炎球を投げる動作も数パターン用意されており、投げるタイミングをランダムにずらしてくる。何とフェイントのような動作まで混ぜてくるのだ。そこを見切ってかわし、接近してショットガンを叩き込むのはとても気持ちいい。これは初代Doomの面白さそのものである。


●Doomはあくまで殺戮と破壊に終始すべき

私はこのゲームをクリアした後、いくつかのMODをプレイしたり、D3 Engineで作られた戦闘特化のQuake 4をプレイしたのだが、それによってDoom 3が純然たる殺戮FPSであればもっと面白かったのに、という考えはますます強固なものとなった。初代Doomのステージ構成をまるまるD3 Engineで再現した「Classic Doom 3」の方がDoom 3より面白いというのは、とても悲しいことだ。もしこの作品が、最初からHellのようなゲームバランスで作られていたらどんなに面白かっただろうかと思うと、非常に勿体無い気持ちになる。

いずれにせよDoomに求められるのは、あくまでJohn Carmackによって作られた立体的な世界と、その中で行われる生死の見えぬ激しい戦い、そしてとことんまで煮詰められたゲームバランスである。中途半端なホラー要素など完全に不用だった。


Demo版 4Gamer.net/File Front/3D Gamers/Game Spot

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●動作環境

必要動作環境 推奨動作環境
OS Windows 2000/XP -
CPU P4 1.5GHz以上、AthlonXP 1500+以上 -
RAM 384MB以上 -
VRAM 64MB以上 -
HDD 2.2GB以上 -

推奨動作環境が特に書かれていないが、2004年〜2005年頃にかけて一般的となっていた「P4 3GHz, RAM 1GB, VRAM 128MB」という構成なら、1024*768の解像度でオプション項目大体ON、AA OFFで快適に動かすことができた。逆に必要動作環境程度だとかなり厳しく、本当にかろうじて動くだけゲームとしてはまともにプレイできないと考えた方がいい。ちなみにDOOM 3はcfgファイルをいじることによってかなり細かいレベルでの設定変更が可能なので、動かすのに支障がある場合はそちらもいじって負荷を下げてみると良い。


●入手状況

2004年のまさに大作なので、現時点でも入手は非常に容易な部類に入る。既に廉価版や拡張パックが発売されており、今後も品薄にはならないだろう。現在は価格改定版が一般に流通しており、安く手に入る。完全日本語版はないものの日本語マニュアル付き英語版が出ており、価格も英語版とあまり変わらないのでオススメである。


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