つまらない最新ゲームより遥かに面白い
PCゲーム批評 「Doom」

Last update: 2007.09.21 / First Edition: 2007.03.20
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*:変更点を含んだPC版 The Ultimate Doomの批評である。



●避けて撃つFPS

Doomとは、1993年にid Softwareが開発・発売したDOSゲームであり、Wolfenstein 3Dの後継作品に当たる擬似3D FPSである。現在のような完全な3Dではなく擬似なので、内部的には高さの概念がなく、上下への視点の移動もできない。完全3Dの世界は、製品としてはQuakeにより初めて実現されたと言われている。だがこのゲーム、技術的な制限が多いにも関わらず、現在遊んでも十分通用してしまうポテンシャルを秘めているので、ここで改めて紹介しておく。

まずDoomのアクションFPSとしての面白さは、敵モンスターとの熾烈な接近戦にある。Doomの戦闘の基本は、敵の攻撃をタイミングを見てかわし、懐に飛び込み、一撃を浴びせて離脱する、という一連の動きにあるのだが、これをあらゆる場面で求められる。理由としてはメインとなる武器がショットガンで、弾数を節約しつつ敵を効率良く倒すために、接近して撃ち込む必要があることが挙げられる。しかしここで難しいのは敵の動きがかなり不規則であることで、ウロチョロしながらランダムに攻撃を仕掛けてくる敵の攻撃を、常に目で見て、反応して避けなければならない。これが非常に面白い。プレイヤーに読みとタイミングが求められるのだ。適当に突進して撃ちまくるだけでは、あっという間に体力を削られて死んでしまうだろう。これはリアル化が進むFPSで軽視されている事柄である。


●基礎部分の出来の良さ

Doomのもう一つの良さ、それは射撃時の気持ち良さである。現在の基準から見ると、Doomはとにかく演出過剰。何しろ銃は撃つたびにバンバンやかましい音を立てるし、攻撃を受けて死亡したモンスターはみな内臓をぶちまけてその場につぶれてしまう。このバイオレンスな演出がとても爽快である。思うにこの感覚がDoomの中毒性になっているのだろう。現在のリアリスティックなグラフィックでこういう演出をすると不自然過ぎて違和感があるのだが、Doomはグラフィックレベルに見合った演出をしているので違和感がない。これはレトロゲームならではの演出と言える。


●計算され尽くされたゲームバランス

敵や武器のバランス、レベルデザインなどはかなり高いレベルまで練りこまれており、同じレベルを何度もテストプレイして調整したというのが伝わってくる。Doomは全てのレベルを難易度Hard (Ultra Violence)で、ピストル一丁の初期状態からALL 100%クリアできるように調整されているらしい。弾薬やヘルスの配置の仕方も適切で、余り過ぎるということがほとんどなく、プレイするほどスマートに攻略できるように配慮されている。特にリプレイを喚起する工夫はないのだが、何周プレイしても色褪せない魅力がある。

デザインとして面白いのは、モンスターが同士討ちを始めるように設計されていることだろう。基本的に全てのモンスターはプレイヤーのみを狙うのだが、その攻撃が他のモンスターに当たってしまうと、同士討ちをしだすのだ。場面によってはこの同士討ちの利用が非常に有効となる。モンスター同士が争うのを見るだけでも楽しいのだが、ゲーム的にも大変重要なシステムになっている。

世界観もとても良く作りこまれており、モンスターの個性が際立っているのが良い。癖のあるモンスターばかりだが、ただ単に見た目が印象的なだけでなく、個体ごとの習性までちゃんと作りこまれているので、深みのある世界観を構築している。例えばImpなどは知能が低いのでしょっちゅう同士討ちを始めるが、Baronは賢いのであまり同士討ちしない。ボスとして登場するCyber Demonは、ネタバレは避けるがその強さ・インパクト共に、FPS界屈指の魅力的な敵キャラクターである。


●冗長なシークレット要素

Doom全盛の時代からHalf-Lifeの登場まで、FPSで定番となっていた「シークレット」だが、これは人によって大きく見解が異なるところだろう。マップを探索する楽しみが増して探すのが楽しいという人もいれば、探す行為が作業的過ぎてつまらないという人もいる。デザイナーの腕前に大きく依存するシークレットの面白さだが、少なくともDoomの場合は問題がある。

というのもいくつかのシークレットは、明らかに探し当てるのが困難な場所にノーヒントで隠されているため、それらを見つけるためにはひたすら壁に向かってスペースキーやパンチを連打するという機械的作業が必要になるのだ。自力で100%クリアを達成するには、数十から数百時間が必要となるだろう。これは恐らくDoomのクリアにかかる時間が短いことを考慮してのことなのだと思うが(海外では短いゲームに対してクレームがつくことがある)、自力で完全制覇が難しい(というか異常に面倒くさい)というのはストレスがたまる。


●FPSのオールタイムベスト

ゲームという文化は生まれたばかりなので、そのデザイン論も日々進歩しているはずなのだが、10年以上前に発売された作品が、ゲーム性という点で現在のゲームを凌駕しているのは興味深い事実である。この作品はゲームの歴史を学ぶ意味でも、また純粋に内容を楽しむという意味でも、今からプレイする価値が十二分にある、普遍的な作品である。


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●動作環境

必要動作環境 推奨動作環境
OS Windows 95/98/ME/2000/XP -
CPU i486 50MHz -
RAM 8MB (64MB for XP) -

※:既にDOS版は手に入らないと思うので、DOOM 95を動かす際の動作環境を記した

DOOM 95を動作させる場合、意外にもWindows XPであってもすんなり動作させられることが多いが、そのままだとマウスが使用できないので、現在はZDOOMなどの拡張MODを利用するのが一般的となっている。


●入手状況

DOS版のものは入手困難だが「DOOM Collector's Edition」というThe Ultimate DOOM, DOOM 2, Final DOOM(2のアドオン)の3作をまとめたものが広く流通しているので、簡単に手に入れられる。ちなみにマイピックというところからオンライン日本語マニュアル版のCollector's Editionも出ていたのだが、現在では見かけない。純粋なDOOMはほとんど存在しないが、The Ultimate DOOMは追加レベルとわずかな細かい変更点のみなので、特に初期DOOMを購入する必要はないと思われる。

ENSOF LIMITED
I Feel Groovy


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