Dead Space 批評

Last Updated: 2009.03.12 / First Edition: 2008.12.15






Dead Spaceは、ここ数年のFPS/TPSにあったトレンドを組み合わせて作られたサバイバルホラーTPSである。もっとストレートに書くと、有名作品のフィーチャーを何の恥じらいも臆面もなくパクりまくった作品。それなのにB級どころか、2008年でも傑出した作品に仕上がってしまったのだから困る。

例えばオーディオログを使った演出や閉鎖空間でエイリアン化した職員たちと戦う様子は、まんまSystem ShockやDoom 3のコピーだし、部位破壊システムはResident Evil (バイオハザード)のパクリ。敵の動きを一定時間遅くするStasisの能力は、Max PayneやF.E.A.R.にあったBullet Timeそのもの。物体を引き寄せて投げる能力はHalf-Life 2のGravity Gun。経験あるShooterファンは、本作をプレイしている最中に強烈な既視感を覚えるだろう。

Dead Spaceはそれらの要素を一度ゲーム内に取り込み、組み合わせた上で、大量の金と人材をつぎ込んで現在の水準まで引き上げた。模倣された部分は安易な劣化コピーにはなっておらず、その本質をコピーした上で、上手くゲーム内に溶け込まされている。結果「他のゲームのおいしいとこ取りし、且つ元ネタを凌駕する」という夢のような作品になった。


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確かに元ネタのファンにとっては、SF的世界観の面ではSystem Shockを上回らないし、破壊の爽快感の面ではDoom 3を超えてはいないかもしれない。だがDead Spaceは様々な作品の長所を非常に高いレベルで取り込んだ結果、他の誰にも真似できない、ある意味では個性的な作品になっている。これだけ様々な要素を取り入れたのに、ゲームとして1つにまとまっている作品は希少と言える。

例えばDoom3: Resurrection of Evilは、安易に流行の要素の取り込んだ結果、ちぐはぐで中身の薄い作品になってしまった。良いとこ取りを目指した作品は、大抵ゲーム内の要素が競合してしまってちぐはぐになる。だがDead Spaceはそうではない。

このゲームのエイリアンは全て元が人間で、弱点は人間の頭部ではなく、寄生したエイリアンの手足になっている。今まで「急所の記号」として存在した頭以外を狙うのは新鮮な体験だし、腕をもげば攻撃が弱くなり、足を切断すれば移動が遅くなる、という戦術的な要素も含んでいる。しかしAimが苦手なプレイヤーは上手く急所が狙えず、弾薬が不足してくるかもしれない。そういうときはKinesisの能力で周囲に落ちているオブジェクトを掴み、吹き飛ばせば、それを武器として使うことが可能だ。また大量のエイリアンが同時に攻めてきたときは、主人公の力では捌き切るのが困難になってくるので、Stasisの能力で敵の動きをスローにするのが有効になる。

このようにDead Spaceでは、他の作品から持ち込まれた要素1つ1つがゲームにしっかり組み込まれており、意味のあるシステムになっている。それどころか「敵の体を切断して、その部位を投げ飛ばす」というように、新たなゲームプレイの可能性をも生み出している。




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ゲームバランスも良く出来ている。サバイバルホラーとしては若干易しめになってしまっているものの、ゲームオーバーになる場面はしっかり作ってあるし、アイテムがあまりに過剰になってしまう場面は見当たらない。また装備の強化やインベントリといった要素があるので、単純に敵を倒して進むだけのゲームにはなっていない。武器は初期装備が万能過ぎるとか、2周目のプレイを促す仕掛けがあまり上手くいっていない、といった不満もあるが、全体的に見ればホラーゲームの怖さを損なわない程度の難易度を維持していると言っていい。

大きな問題があるとすれば操作デバイスの件だ。基本的にShooterは、ゲームパッドでプレイするよりマウスでプレイする方が簡単になる。逆に言えば元々コンソール向けに作られているゲームをPCに移植する際は、そのまま移植したのでは難易度が下がってしまうわけだが、これはホラーゲームのような恐怖演出が重視されるゲームでは致命的になり得る。プレイヤーに苦戦させて心理的プレッシャーを与えることは、恐怖感を倍増させるための手段だからだ。

Dead Spaceがこの対策として講じた処置は「マウス使用時はAimを劣化させる」というものだった。結論から書くとこの処置はそれほど上手くいっていない。マウスでプレイする際は精密なAimによる切断と高速な振り向きができてしまうため、パッドのときよりプレイヤー側が有利になってしまい、ゲームの恐怖感をいくらか削いでしまっている。それは致命的なものではないが、基本的にパッドに最適化されたゲームであるので、やはりパッドでプレイするのが最適といえそうだ。そういうわけでPC版でもあえてXbox360パッドを繋いでプレイするか、難易度を上げてプレイすることを勧める。




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少しネタばらしになってしまうが、私のお気に入りの場面を挙げておこう。ゲームの途中でプレイヤーは、どうやっても殺すことができない不死身のモンスターと対面することになる。当然逃げの一手になるわけだが、このモンスターは様々な障害を乗り越えて、執拗にプレイヤーに迫ってくる。逃げる途中にも当然、他の雑魚敵が出現するのでプレイヤーは本当に必死になって逃げなければならない。緊張感という点では屈指だし、全ての敵を倒している暇のない場面で「手足を切断して敵を弱体化させる」というシステムが非常に上手く機能していると感じた。

グラフィックスは平均水準を軽く越えており、それでいて非常に軽い。発売時点でミドルレンジのVGAを使っていれば、高設定でも60fps以上を保つのは容易である。美しさと軽さのバランスとして理想的と言えるだろう。また残虐表現は近年でもトップクラスで、あまりにも残虐なので各国で発禁処分にされてしまったほどである。が、Shooterといえばこの作品のように、敵をチェーンソーで切り刻む、焼く、バラバラにして宇宙空間に放り投げる、くらいのことはできて欲しいものだ。審査機関のプレッシャーを物ともしないRedwood Shoresの開発姿勢にエールを送りたい。




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総評
2008年のサバイバルホラーゲーム決定版。面白いホラーゲームを探しているなら、Dead Spaceを選ぶべきだ。心臓の弱い人間以外には迷いなく勧められる。





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