Last Updated: 2008.11.12 / First Edition: 2008.11.12
画像/攻略

●スピンオフ作品として
Crysis Warheadは、本編の主人公Nomadではなく、同一時間軸における同じ特殊部隊の仲間であるPsychoの活躍を描いたスピンオフ作品である。すなわち続編でもなければ追加ミッションパックとも違う。Warheadについて考えるときは、まずこの点を忘れてはならない。スピンオフ作品の性質上、Warheadが本編とは違うベクトルを向いていることは当然のことなのだ。
本編であるCrysisでは、ゲームプレイのベクトルは「自由」という方向へ向いていた(少なくとも前半は)。だがWarheadではその進路を変え「破壊」という方向へ向いている。あるいは「怒り」という単語に置き換えてもいい。ゲームが進むに連れてPsychoの怒りと破壊は加速していき、それは最終章で頂点を迎える。この一貫性、そして冗長さを感じさせないメリハリの効いた展開は高く評価していい。前作は前半と後半があまりにもちぐはぐ過ぎた。
限りない破壊を実現するために、Warheadはプレイヤーに大量の殺戮兵器を用意している。新武器も2丁Sub
MachinegunやGrenade Launcherなど、ど派手なものが満載だ。敵兵も蟻のようにゾロゾロ出てくるし、戦車やヘリも出撃してくる。そしてプレイヤーにはこれらを全て殲滅するだけの力が与えられている。破壊に次ぐ破壊を繰り返す本作は、Doom
2 並みのトリガーハッピーゲームと呼んでよい。演出重視の近年のゲームにしては珍しく、原始的なFPSの面白さに立ち返った作品となっている。
味方を守りながら敵地を爆走するといった派手な展開が増えている反面、進行がリニアになり自由度が大きく減退しているのは批判の対象となるだろう。基本的に1本の太いレールが敷かれており、それを左端に沿って進むか右端に沿って進むか、くらいしか自由度がない。確かに広大なフィールドが描画されてはいるのだが、ゲーム側が進むルートを強制してしまっている。特に少し離れた場所にある小島へ向かおうとしただけで鮫に食われたり強制死させられるのは、窮屈且つ理不尽な印象を一層深めていていただけない。リニアに進ませたいのは分かるのだが、もう少しプレイヤーの意思でルートを選択できてもバチは当たらなかったはずだ。もはやエンジンが似ているというだけで、Far
Cryの面影は全くない。
ストーリー面に関しては、本編のNomadは物語の主人公という位置づけで、ほぼ孤立無援の状態で敵の本拠地を破壊するというスーパーヒーロー的な存在だったのに対し、Psychoはあくまで脇役として描かれている。脇役は仲間たちと協力し、何とかして中ボスを撃破しなければならない。Psychoもその王道に忠実なキャラで、様々な人物と関わり合い協力しながら進んでドラマを体感していく作りが臨場感抜群で面白い。難点はO'Neillが日本アニメに出てくるような、軍の規律を無視して勝手に出撃するタイプのフリーダム馬鹿なので、こいつだけ浮いていてその行動にたまにイラッとくること。だがいずれにせよ、他の貧乏スタジオが永久に辿り着けないような豪勢な演出で飾られたゲームであることは間違いない。日本語版声優も他の洋ゲーとは比較にならない豪華さ。

●頑張って欲しかったところ
今回の開発はCrytek Budapestという新設のスタジオなためか、デザイン的に洗練されていない部分が少々目立つ。特にイベントでの戦闘シーンは「自由度が高いゲームプレイの中で詰まらないように、護衛されるべきVIPが無敵設定」という本末転倒な調整を行ってしまっている。VIPを守る必要が全くない。またいくら戦闘特化になっているとはいえ、森や飛行場のあちこちに弾薬がばら撒かれていてGauss
RifleでもMissile Launcherでも撃ち放題なのはやり過ぎで全体的に大味なバランスである。
新武器には面白いものが多いのだが、結局のところ前作からあるFY71やGauss Rifleを使うのが最強という結論になってしまって、趣味武器的な存在になっており使う場面が少ない。武器自体は面白いのだからもっと新武器を使わせるシチュエーションを用意した方がプレイにも変化があってよかったのではないか。Nanosuitの機能は変わらず、Cloakは相変わらず強過ぎるが、前作の批評で突っ込んだことなのでここでは触れないでおく。
良い部分はエイリアンも巡回・索敵・戦闘などで違った行動を見せるAIになったことで、その点は大きな改善と感じた。前作にあったエイリアン戦の単調・単純さがなくなっている。レベル構造に関しては、様々な方向から潜入できるように障害物などを配置しておりなかなか上手い。2周目3周目でも新たな発見があり、自由度は減ったもののリプレイアビリティは十分に確保されている。また各レベルが潜入シーン、突撃シーン、戦闘シーンなどをミクスチャした構成になっているのもプレイヤーを飽きさせず面白い。ただし海を監視する敵がゲームを通して全く出現せず、海がある場合はそこを通れば全ての敵を完全スルーできるのはいくらなんでも間抜け過ぎる。

●グラフィックスは退化?!
2007年当時のウルトラハイエンドVGAでも最高設定ではまともなfpsを出せないと話題になったCrysisだが、同一エンジンなので同じ欠点を引きずっている。発売前は最適化されていて安いPCでも快適という話だったのだが、実際にプレイしたりネット上の評価を見る限りは、軽くなったのか重くなったのかイマイチよく分からない。平均的な意見を取るなら「低設定では軽くなった」と言えそうだが、実際にプレイする限りは似たようなものであり劇的な変化は期待しない方がいい。むしろテクスチャがややチープになっているので退化したとすら言える。特に戦闘機が空中戦を繰り広げるカットシーンはとても残念な出来栄えだ。DX9でもGUIから最高設定を選択できるようになったのは嬉しいが…
●総評
1つの外伝的な作品として上手く差別化できている。こういうCrysisがあっても面白い。
All trademarks and trade names are properties of their respective owners.
Copyright (C) GAME LIFE 2004-2008 All rights reserved.