シンプルイズベストなWW2 FPS
PCゲーム批評 「Call of Duty」

Last update:2007.01.05
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メニュー画面の雰囲気とBGMが好きだったりする。


【概要】

「Call of Duty」はあの「Medal of Honor:Allied Assault」を手掛けたメンバーによる第二次大戦物のFPSゲームである。詳しい経緯は知らないが、MOH:AAを手掛けた2015のメンバーのうち22人が独立してInfinity Wardを立ち上げたらしい。そしてそのInfinity Wardの初公開作品となるのがこのCoDなのだ。内容は第二次世界大戦中の連合軍の作戦に参加するというもので、作戦は1942年〜1945年に実際に起きた「ノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)」などを舞台にしている。なお今回の批評では便宜上、このCall of DutyをAllied Assaultの実質的な続編として比較していく。


【臨場感抜群の戦場】

このシリーズがこれほどまでに一般的に評価されている理由は、演出面がずば抜けて凝っているからだろう。グラフィックが強化されたのはもちろんだが、味方AIの数がAllied Assaultから驚異的に増加しており、最も多い場面では100人くらい突撃する様が見える。前作の味方AIというのはあくまでプレイヤーをサポートするために、同様の超人的強さを持った兵士が何人か護衛についてくれるという感じだったが、本作における味方は雑魚敵と同程度の能力しか持っておらず、もっぱら捨て駒として敵の銃弾に散り、死体が戦場に散乱するという演出に使用される。特にソ連軍ミッション序盤の演出は白眉である。一般市民が銃もなく戦場に駆り出される様子や、味方が成す術もなくMG42の攻撃に倒れるシーンが上手く描かれている。

サウンド面は前作同様に充実しており、EAX3に対応した立体的な3Dサウンドが素晴らしい。そもそも爆発音自体が実際のものをサンプリングしたらしく非常に迫力のあるものに仕上がっている。BGMに流れるオーケストラも実に雰囲気が良い。グラフィックは今回もQuake3エンジンを使用しているらしいのだが、改造され過ぎていて元が何だか全然分からない。グラフィックの質そのものはそれほど優れているとは思わないが、大量のキャラクターを描いていながら負荷が軽めなのが良い。

NPCの数がとても多く、迫力の戦闘が繰り広げられる 演出面は規模、巧みさ共に前作より強化


【ゲーム性はEASY】

ゲーム内容は相変わらずエンターテイメント性重視のシューティングである。スナイパーライフルは照準通りに真っ直ぐ飛んでいくし、マシンガンでもアイアンサイトにすればかなり正確に着弾する。シンプルで直感的に楽しめるゲーム性が本作の持ち味だ。血は出ないが撃ったときの感触が相変わらず良好で単純に楽しめる。そうそう、今回からはアイアンサイトに加え覗き込み撃ちや伏せもできるようになった。特に伏せは重要な要素になっており、被弾率が大幅に低下するので障害物の陰に伏せて隠れるのが有効になっている。逆にプレイヤー側の回避行動が多彩になったことで敵の攻撃力は強くなっており、Allied Assaultに比べると慎重に進んでいく必要が出て、少しリアル寄りのゲームバランスになっている。少なくとも前回のような突撃スタイルではクリアできないので、今までとプレイスタイルが変わっていて良い。雰囲気的にもこのバランスの方が合っているだろう。

またプレイヤーは一切扉を開けられなくなった。これは今までのように、開けられる扉と開けられない扉の見分けがつかずに混乱することがないよう統一されたということだ。先に進むための扉が閉まっている場合は味方AIが蹴破ってくれるようになっている。マップ構造も見直されており、今度こそコンパスに従って動けば迷うことは一切ないようになっている。

3つのキャンペーンの感触は、米軍ミッションが数人の仲間と共に戦闘を繰り広げるオーソドックスな展開。英軍ミッションは単独行動や潜入作戦といった1人で敵地に入るケースが多く前作の雰囲気に近いところがある。ソ連軍ミッションは序盤の演出が非常に激しく引き込まれるが、中盤以降はあまり特筆するべきところがなかった。


【パターン構築の面白さ】

特に今回素晴らしかったのが難易度調整だ。用意されているのはEasy - Very Hard相当の4段階だが、Normalから順にプレイしていくとリプレイしたときでも緊張感を保てるような理想的な難易度になっている。特に最高難易度は、他の難易度で可能なヘルスパックによる回復が不可能になっており、かなり大胆な調整にも関わらずバランスが全く破綻していない。Allied Assaultもかなりゲームバランスを煮詰められた作品だったのだが、本作はさらにその一歩を上を行っている。

実はここまで精密な調整の裏には、本作が純粋なパターン・シューティングであるという事実がある。進行ルートなどは完全にゲームによって制御されており、敵兵士もプレイヤーがある地点まで到達すると「待ってました」と言わんばかりに躍り出てくる。つまりゲームの展開が完全に一本道化されているために、突っ込んだバランス調整が可能なのである。自由度の高いゲームというのは様々な方法でクリアできるようにするために中途半端なバランスになりがちであるが、一本道ゲームにはこんな大きな利点があるのだ。ちなみに拡張版はこのバランスがなかったためクズと化した。

リニアだリニアだと批判されがちなCall of Dutyだが、リプレイ性はむしろ高い。私は既に4回クリアした。出現する敵の位置を覚え、綿密なパターンを作り上げて並み居る敵を無傷で倒していく征服感こそが本作の隠れた面白さであると思う。それに比べて見た目の自由度だけ高くて、その実選択肢の少ない浅はかなゲームの何と多いことか。これによって本作を自由度の低さを理由に底が浅いなどと批判することが、いかに的外れであるか理解してもらえたと思う。

特に屋内戦は非常にパターン性が強い 御馴染みのカーチェイスミッションもある


【宣伝通りいかないAI】

ゲームの宣伝やマニュアルで賢い、賢いと書かれているAIは、残念ながら普通の出来であった。確かに障害物にみんなで隠れたりしてくれるが、これらはあらかじめ決められたパターンに沿ってそれらの動きを見せているだけでダイナミックに動いてくれるわけではない。それと仲間は多いが攻撃能力が非常に低く、結局プレイヤーが攻撃しなければ敵が全然倒れないので頼りにならない。これは味方の存在が雰囲気を盛り上げる演出として用意されているだけで、ゲーム自体はあくまでプレイヤーが進めなければならないということだろう。

それとAIには無関係だが被弾時のアニメーションは種類が少なくなっているような気がする。前作は倒れてもゆっくり起き上がってきたりしてちゃんとトドメを刺さなければならなかったのだが、今回は倒れた敵=死亡というのに統一されている。これは敵の生死がパッと見でわかったほうがゲームとして分かりやすいからだろう。

非常に残念に思うのは演出は優れているものの中身が完全にゲームなので、所詮これはシューティングゲームなのだという一歩引いた視点から作品を眺めてしまうことである。もしCall of Dutyのような演出とリアルなゲーム性とを両立できれば、さらに没入感の高いFPSを作ることができるだろう。


【侮れないマルチプレイ】

このゲームにはご多分に漏れずマルチプレイが付属しているが、実はこれが結構面白い。いや、マップはほとんどキャンペーンからの流用であるし、特にマルチプレイモードならではの工夫がされているわけではなく、明らかに手抜きっぽいのだが、なかなか楽しめる内容なのだ。ゲーム自体はとても軽く海外サーバーでプレイしてもラグをあまり感じないし、障害物が多く配置されたマップは研究するほどスコアを伸ばすことができる。何より元々作りこまれたゲームであるので射撃時の感触などが非常に良い。シンプルなマルチプレイゲームとしてはかなり楽しめる内容に仕上がっていると感じるのだ。ちなみに現在でも人は多い。


【総評】

総合的に見てクオリティが高い作品であるので初心者から熟練者まで幅広く勧めておく。特にFPS初心者にこれはお勧め。DOOMやQuakeのWW2版といった感じなので、シンプル系FPSが好きなら楽しめるだろう。日本語版を買ったのだが、内容は相変わらずただただ進んでいくだけなので日本語である必要性はあまり感じなかった。今では拡張版と続編が出ているが、拡張版は下らない内容なのでシングル目的では無視したほうがいい。続編である2はゲーム性が少し変わっている。


Demo版 3D Gamers/4gamer.net/日本語公式サイト

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