Last Update:2007.08.30 / First Edition: 2007.08.27
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●System Shock 2との差異
発売前から随分と話題になった作品だが、BioShockのルーツはあのSystem Shock(以下SS)とLGSなのだから、弥が上にも期待が高まってしまう。SSシリーズではSFの世界観を基に自我を持った機械との戦いが描かれたが、BioShockはタイトル通り生物をテーマの中心に持ってきている。ストーリーは飛行機事故に巻き込まれた主人公が、偶然過去に人類が建設した海中都市に辿り着き、そこで発生している人体改造を施した者同士の抗争に巻き込まれるというものである。
ゲーム性に関しては「よりFPS寄りのSystem Shock 2」或いは「カジュアルなSystem
Shock 2」となる。単に撃ち合って敵を倒していくだけの内容でなく、Skillや人体改造による成長システム、死体や箱から金銭を入手して自由に弾薬を買える仕組みなど、基本的なシステムは完全にSS2を踏襲しているが、最大の相違点は主人公がもやし野郎ではなく超人だという点で、Skillを取得する意味を、生き残るためから敵をなぶり殺すために変えてしまっている。
SS2の主人公は、初期状態では雑魚に数回殴られただけで死ぬ、武器が使えない、使ってもすぐ壊れる、足が遅いと、なかなか救いようのない状態から始まり、そこからいかに効率良くSkillを選択して生き延びるかを考えなければならなかった。ところがBioShockの主人公は最初からあらゆる武器を扱うことができ、ぶっちゃけた話をすると特に工夫せず武器を撃ちまくるだけでもクリアできてしまう。体力や弾薬のバランスもかなり甘めだ。この状態からさらにPlasmidsと呼ばれる、電撃や念動力を放つ特殊能力が加わる。
このような無敵の主人公にとって、Raptureと呼ばれる海中都市はサバイバル空間ではなく、遊園地やテーマパークのような居心地の良い空間に過ぎない。プレイヤーは与えられた特殊能力を駆使し、プールに浸かる敵集団を電撃で感電死させたり、周囲にあるものを念動力で投げまくって敵を圧死させたり、狂乱状態にさせられた敵が同士討ちするのを透明化してじっくり眺めて楽しむことができる。特殊能力は単に放つだけでなく、足元に広がるオイルに火炎を放って敵を焼き殺す、死体を放り投げてトラップを解除するという風に応用できるようデザインされている。マップにも特殊能力を駆使できるような仕掛けが随所に施してあり、敵をどうやっていたぶるかを考える過程が非常に面白いゲームになっている。
マップは最近のゲームにしては比較的巨大で、敵は死んでもいくらでもリスポーンするために、じっくりと好きなだけ遊びまわることができるだろう。飽きたら次のマップに進み、新しい能力を手にしてまた敵をいじくり回せばいい。これがBioShockの"箱庭感"だ。ゲームオーバー?そんなものは存在しない。弾薬や回復薬にはかなり余裕があるし、体力が尽きても近くの復活装置で蘇るだけなのだ。謎解きにも便利な誘導アイコンが出て導いてくれる。つまり最初から困難な課題に挑戦することを目的としたゲームではないのである。

●良く作りこまれた世界観
BioShockは、まず一般的なFPSとは異なり、ダンジョン型のレベルデザインにも関わらず敵の出現・復活がランダムであるために、先の展開が読みにくい。「ここにはこの敵がいるから、こうやって攻略する」と筋道が決められているのではなく、臨機応変に対応する必要があり、移動ルートも自由である。敵も部屋と部屋を頻繁に移動しており、攻撃を受けると逃げ出したりすることもある。これらが絡まり合うことによってスクリプトではないナチュラルに生成された展開が発生するため、同じレベルでずっと狩りに励んでいてもなかなか飽きさせないようになっている。
グラフィックやサウンドのレベルは非常に高く、自慢の自作PCの性能を十二分に発揮できるだろう。ゲーム開始時のムービーだと思っていたら、いつの間にかプレイが始まっていたという驚きは久しぶりだった。エンジンはUE2.5から途中でUE3に切り替えたらしいのだが、質感は全体的にThief:
DSやDEIWで使われたUE2.0の改造バージョンに近い印象を受ける。残念なのは物理エンジンで、Havokらしいのだが死体が頻繁に手足をブルブルさせており、美しいグラフィックに対しかなり滑稽に映る。
事前情報では海底都市にいる敵は元は人間なので、各自が意思を持ちそれに沿って行動しているという話だったのだが、これはSplicer,
Big Daddy, Little Sisterに敵対・友好関係が存在するというだけで、簡単に言うとHLの三つ巴の関係を多少複雑化しただけに過ぎない。敵は基本的にSS2と同様、スポーンしたらプレイヤーを発見するまでマップを徘徊し、視界に入ったら襲ってくるだけだ。ゲーム世界内でのNPCの抗争という点ならS.T.A.L.K.E.R.の方がよほど上手く表現できていた。
●Big Daddy狩り
これがBioShockの戦闘のハイライト。このゲームに登場する中ボス的な存在"Big
Daddy(パッケージなどに描かれている敵)"は、巨大な力を持つ中立の敵である。普段は誰にも危害を加えずにマップを徘徊しているが、怒らせるとプレイヤーも他の雑魚敵もただでは済まない。上手く倒すと、能力アップに必要なアイテムを入手できる。同士討ちさせる能力で雑魚敵を暴走させてBig
Daddyにぶつけたり、監視カメラにひっかけてセキュリティに攻撃させたりと、能力を上手く活用しなければならない。このBig
Daddyがマップに時折出現することが、プレイにメリハリをつけている。
Big Daddy自身も非常に存在感のあるキャラクターであり、Big Daddyが近くを歩いているときは視界が大きく揺れるなど、圧倒的な力を持つボスとしての演出が上手い。ただ中盤以降になるとこちらが強くなり過ぎて、Big
Daddyも雑魚敵の内の1体でしかなくなるのは残念だった。

●ダメなところ
欠点も並べてみよう。まずこのゲームは色々な攻略法が考えられるというよりは、どうにでもなってしまうという感が強い。これは甘過ぎる難易度調整からきている。SS2やDeusExといった攻略の自由度の高いゲームでも、確かに様々な方法で局面を突破することができたが、例えばHack
Skillを伸ばしたらShotgunは扱えなくなってしまうという取捨選択をしなければならなかった。しかしBioShockに捨てる選択はなく、どんな能力も併用できると言っていい。
それが如実に現れているのがHackingだ。BioShockにおけるHackingとは、単にミニゲームをして販売機の価格を下げたり、セキュリティシステムを味方につけるものでしかない。プレイヤーは強力な戦闘能力とHacking技能を両立できるからである。SS2では他の技能を犠牲にする代わりに大量のアイテムを得られる手段としてHackingが存在したのだが、BioShockでは何も考えずに片っ端からHackingしていくだけになっている。
同時にどんなSkillを取得していっても問題なくゲームをクリアすることができるため、どのタイミングで、どのSkillを取得するか頭を悩ませる必要がなく、面白味に欠ける。Skill選択の面白さという点なら、SS2やDeusExの方が数段上だった。
敵の種類が少ないのはかなり物足りない。BioShockに出現する敵は、大きく分けると改造人間であるSplicerとBig
Daddyしか存在しない。Splicerは武器や動きが種類によって違うが、あまり特徴的な動きをするタイプはいない。これはストーリー上の制約なのだが、異形のモンスターくらい出してもよかったのではないか。この点ではメリハリに欠ける。
銃撃戦ではエフェクトやキックバックが激し過ぎるため、敵に弾が当たっているのか分かり難いという点に問題を感じる。そのため射撃による爽快感という、Shooterとして基本的な部分が弱い。特にMachine
Gunは使い勝手の悪さが目立つ。怪奇な世界観とは裏腹に、ゴア表現が控えめなのも寂しい。
●総評
BioShockは、SS2と使っている部品は同じだが、組み立て方を変えた作品であると感じる。SS2にあった難しさ、取っ付き難さはなくなり、誰でも気軽に楽しめるように作られている。これはXBOX360を中心にライト層にも幅広く売ることを目的としているためだろう。思えばSSシリーズはマニアの評価こそ高いが、一般的な評価や知名度は低い作品だった。反面、SS2やDeusExにあったシビアな取捨選択の面白さが消滅し、底が浅くなってしまったのは残念でならない。
SSシリーズのファンとして文句を言いたい部分も多いが、BioShockは総合的に見て完成度の高い、楽しめる作品であると言えよう。
Demo版 4gamer.net/File Front/Gamers Hell/3D Gamers
BioShockを購入 Amazon(XBOX360日本語版)/Play-Asia/GDEX
ゲームを快適に動かせるPCを探しているならG-Tuneあたりを参照
●動作環境
| 必要動作環境 | 推奨動作環境 | |
| OS | Windows XP/Vista | - |
| CPU | Pentium4 2.4GHz | Core 2 Duo |
| RAM | 1 GB | 2 GB |
| VRAM | 128 MB / Shader Model 3.0対応 | 512 MB |
| HDD | 8 GB | - |
推奨環境は高めだが実際にはクオリティの割に軽い。必要環境と推奨環境の中間くらいのスペックでも十分動作可能である。重要なのはやはりビデオカードで、Medium-High設定での30fps前後の動作を望むならGeforce
7900GSクラスは最低線と考えた方がいい。フルオプションで快適に動作させるにはGeforce
8800GTSクラスが必要なようだ。
注意しなければならないのはSC:DAと同じくShader Model 3.0に対応している必要があることで(Geforce 6600, Radeon X1300以上)、GeforceユーザーはともかくRadeonユーザーは自分のカードをチェックしておいたほうがいい。
●入手状況
新作なのでどこでも手に入る。本作にはBig Daddyのフィギュアが付く限定版、特殊なケースになっているUKのLimited
Editionも存在する。フィギュア付きは日本の輸入業者で扱っているところは今のところ見かけない。
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