Desuraの衝撃
Mod/インディーズゲームの世界に革命を起こし得る、というのが「Desura」に対する率直な感想である。

Desuraは昨年12月に発表された、Mod DB/Indie DBの運営元による新しいデジタル配信サービス。発表された時点で既に水面下で2年間の開発が行われていたとのことなので、実際に開発が始まったのは2007年、Steamが軌道に乗り始めていた時期ということになる。現在、Desuraは開発の最終段階に入り、一般の登録ユーザーに対してもベータ版を開放している。

Desuraはあらゆる面でSteamを模倣したプラットフォームと言え、インターフェースや機能はそっくりである。しかしその中で大きく異なるのは「配信されるゲームはModやインディーズゲームがメインになる」という点で、そしてこれは決定的な差別化と言える。

考えてみて欲しい。我々PCゲーマーにはModやフリーのインディーズゲームを愛好する者が大勢いる。そしてそういった人たちが「どこかにあるであろう隠れた良作Mod」を探そうと思ったときにネックになるのは何だろうか。それは情報があまりにも少ないことである。多くの良作が膨大な作品群に埋もれ、メジャーなニュースサイトでは取り扱われず「知る人ぞ知るゲーム」として消えていく。また一々ファイルのDLを行い、専用のセットアップを行わなければならないこともこういったゲームが敬遠される理由だろう。

この2つの問題点から大抵の人が到達する結論は「面倒くさい」というものだ。ただでさえコアゲーマーたちはニュースサイトを読み漁り、そこで得た知識を駆使して何やら小難しい議論を繰り広げるのに精一杯だというのに、どこぞの個人開発者が作った玉石混交の作品を追っている暇などないのだ、と。

Desuraが斬り込むのは、まさにこの2つの問題点に対してである。Desuraを起動すると新着のMod/インディーズゲームの情報がポップアップし、トップページには数々のタイトルが並んでいる。それらをクリックすると作品の概要、評価、スクリーンショットなどが映し出され、気に入ったらボタン1つでダウンロード/インストールまで行ってくれ、入手したゲームはリストからいつでも起動することができる。これまでMod/インディーズゲーム作品を遊ぶために必要だった面倒な「情報探し」「インストール」の手間が大きく省かれている。

このようなサービスが始まることで受けられる恩恵はユーザー、開発者共に非常に大きいだろう。またSteamでは取り扱われないようなインディーズゲームの販売や情報交換が行われる予定であることも、Desuraの大きな特徴と言える。
Desuraの特徴
  • Mod/インディーズゲームをメインに取り扱うデジタル配信サービス
  • ユーザーは登録されているModやフリーゲームを手軽にインストール・管理することができる
  • 有料のインディーズゲームをオンライン決済で購入することも可能
  • インストールしたゲーム(Mod)の自動アップデート
  • Mod DB/Indie DBの膨大なデータベースを基にしている
  • ユーザー主導のサービスで、作品に対するレビューやメディアの投稿などを行える
  • 多くの開発者がサービスを利用しているため、Desuraを通じて直接的にコンタクトを取れる
Desuraでゲームをプレイするまで



Desuraを起動するとストアページが表示され、Gamesタブの中ではスタンドアロンのインディーズゲーム(フリーゲーム)や、Modの基になっているタイトル(Half-Life 2など)が表示される。Modタブの中では、その名の通り各ゲームを改変して遊べるMod作品が並んでいる。現在はベータ中なので、まだフリー作品しか置かれていない。恐らくModは将来的にもフリーが基本になると思うが、有料で販売されるものが出てくるのかは分からない。




タイトルをクリックすると、そのModの概要、ニュース、動画、スクリーンショット、DL可能なファイル、といったものを参照することができる。またクライアントから10段階の評価を投じることができ、評価の平均が"Average Rating"として表示されるため、ここでユーザー間での評価を知ることもできる。点数の投票とは別に、後でちゃんとしたレビューを投稿してもいい(ただし英語で)。

右上には、新しくインストールするなら「Install」、既にインストール済みなら「Play」と表示され、また「Track this mod」をクリックすることで、そのModに新着情報が来た際に通知が来るようになり、特定のModの情報を簡単に追うことが可能。




「Install」を押せば自動でダウンロードからインストールまで行われる。Modの場合は必要なゲームのインストールフォルダを自動検出し、さらにModも適切な場所に自動でインストールされる。例えばSource Modをインストールした場合は、SourceModsフォルダ内にModのフォルダが作られる。複雑なインストール手順が必要とされるModも自動でインストール可能。




インストールしたゲームはリストに加えられ、いつでもプレイ可能な状態になる。ここにはユーザーレーティングも一緒に表示される。
現時点での完成度
そもそもベータなので登録されている作品自体が非常に少ない、という点を除けば、このままリリースしても十分便利なツールになっている。

Desuraのコミュニティ機能自体はMod DBにあったものをほぼそのまま使用しており、元々Mod DBを利用していたユーザーにとっては正直目新しい点はない。だがそれが直接的なダウンロード/インストール機能を持つクライアントと一体化したことで、優れた利便性を持つ総合ツールとして仕上がっている。

Desuraは開発者へのサポートも積極的に行う方針で、いくつもの開発ツールやリアルタイムでの売上データを提供していくとしている。統計・実績やDLC、ギフト機能といったものも当然サポートされる。
欠点と懸念
ユーザー間でのコミュニケーション機能がやや貧弱かもしれない。先述したように、ほぼMod DBでのシステムをそのまま用いており、各ユーザーは自身のプロフィールやゲームレビューリスト、Blogなどを持つことができる。しかしユーザー間のつながりがコメントを残す、メッセージを送るといった一方的なものでしか送れないので、ゲーマー同士のライブでの繋がりを広げるツールとしては現状機能していない。そういった目的ではXfireやSteamを使ったほうがいいのだろう。

DesuraはMod DB/Indie DBとは違い、デジタル配信サービスとして一定の水準に達している作品しか扱わない方針を示しているので、マイナーなものや始動したばかりのプロジェクトは、これまで通り各サイトで追っていかなければならない。またグレーな作品も弾く方針が打ち出されているので、例えばGoldenEye: Sourceなどのように他の著作物を利用している作品については扱われないと思われる。

ダウンロード速度は私の環境で600kb/secくらい出ているが、Desuraがオープンになった際にどれだけの速度が出るかは未知数である。デジタル配信サービスはDL速度が遅いと使い勝手が大きく低下してしまうので、この点でもDesuraの価値が大きく揺れ動くだろう。

最大の懸念は、やはりサービスが軌道に乗るか?という点にある。メインの収入源はインディーズゲームを販売した際のマージンになるはずだが、ここには最大最強のライバルであるSteamが存在する。Desura側の強みとしては、Indie DBを通じて既に数多くの作品のデータベースを持ち、インディーズゲームに興味のある開発者、ユーザーたちの支持を得ていることである。しかしここには「そういったゲームが好きな人達」しか存在しない。一方のSteamは全世界の有名タイトルを武器に客を集め、セールを駆使して元々インディーズゲームには興味がなかった層にも作品を売ることに成功している。Desuraでそういった客層を集めることはかなり困難だろう。

ユーザー側としては単に無料の作品を配信してくれるだけでも有難いのだが、サービスを続けるには維持費がかかるし、サービスの発展のためにはビジネス的な成功は不可欠となるはずだ。


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